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能力で作り出したアイテム ディエゴの恐竜 第44話killing me softlyでディエゴ・ブランドーが支給品のカエルを変化させた恐竜。 感覚器官で得た情報はディエゴ本体も知ることとなる。 現在の所在は不明。 チョココロネ×3 第146話記憶でミキタカが自分の体を変化させて作ったもの。 頭につければあら不思議、誰でもジョルノ・ジョバァーナに!―――文明の利器ってスゲー――― 味のほうはまったく持って不明。 第151話レベルEの時点で誰も持っていないので、おそらく食べたのだろう。 フーゴの紙 第193話To Heartで宮本がフーゴを『エニグマ』で紙に閉じ込めたもの。 紙にしたものはいつまでも新しいまま保存しておけるが、破くと中のものも破壊されてしまう。 参加者のほうの宮本がつくったということを除けば他のランダム支給品とまったく同じ扱いである。
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最近のお勧め記事 【大阪】 【橋下徹】 【関連記事置き場】 ★ 選挙:大阪ダブル選 記者座談会 橋下人気、突破力期待も 「毎日新聞(2011.11.28)」より ・前大阪府知事の橋下徹氏(42)率いる大阪維新の会が27日、府知事選、大阪市長選ともに圧倒的な勝利を収めた。それぞれの勝因と敗因は何か。選挙結果は何をもたらすのか。「大阪秋の陣」の現場を、候補らとともに走り回ってきた記者たちが、選挙中に書ききれなかったエピソードや今後の課題を語り合った。 魚拓1 / 魚拓2 / 魚拓3 ------------------------- ★ 民自公すべてを食い尽くした橋下、松井両氏 「産経新聞(2011.11.27)」より ・年代別では、70歳以上の51・5%が平松氏に投票したものの、他の年代ではいずれも6割以上が橋下氏に投票。30代では74・2%が橋下氏に投票した。 魚拓1 / 魚拓2 ■ 大阪市長選=古い体制は打ち砕かれる! 「軍事評論家=佐藤守のブログ日記(2011.11.28)」より ・そして大阪でも「ジャスミン革命?」の前兆が現れた。大阪市長選挙で、維新を唱える橋下氏が、旧体制にしがみつく候補者を破って大勝したのである。 ------------------------- ■ 組織もマスコミも橋下徹と大阪市民に惨敗・大阪市長と大阪府知事のダブル選挙・大阪市長選の投票率は40年ぶりに6割超えの60.92%!・平松邦夫獲得票1位は生活保護率1位の西成区・当確後も印象操作するフジテレビ「Mr.サンデー」 「正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現(2011.11.28)」より ・このように、生活保護の不正受給者など既得権益を守ろうとする層は主に平松に投票し、改革を望んだ層は橋下に投票した傾向があったと思われる。 既存政党も、民主党だけでなく、自民党も共産党も社民党も、平松を支持した。 大阪市役所の公務員なども、平松を支持した。 ------------------------- ■ 大阪市長選:平松邦夫前市長に光あれ!~前市長の残した実績を最大限の賛辞を持って称えたい 「木走日記(2011.11.28)」より ・いかがでしょうか、読者の皆さん。 平松さんは派手さはありませんでしたが、破綻寸前の大阪市の財政を4年間でここまで改善してきたのです。 彼が一地方自治体における残した実績は地味ですが素晴らしいものです。 その間にリーマンショックの大不況もある中でこれらの実績を残した平松さんの政治手腕を、同時期国政において無策にも何も財政問題で対応できなかった麻生、鳩山、菅、野田政権の体たらくと対比して見てください。 私は平松前市長の残した実績を最大限の賛辞を持って称えたい。 平松邦夫前大阪市長に光あれ! 本当にご苦労様でした。 ------------------------- ■ 橋下徹氏・大阪維新の会・ハシズム独裁唯一最大の弱点 それは・・・ 「Everyone says I love you !(2011.11.26)」より ・大阪市議会では維新の会は野党ですから、もう橋下氏の思うようには行きません。職員も橋下氏のやり方には猛反発していますから、橋下氏が立ち往生することは必定でしょう。 ------------------------- ■ 「独裁者か真のリーダーか」、だってさw 「ネットゲリラ(2011.11.28)」より ・独裁者というのがハシゲを指しているのは言うまでもないんだが、だとすると、平松が「真のリーダー」という結論になってしまうわけで、ここまで露骨に片方にテコ入れする報道なんざ、見た事ないんだがw ------------------------- ■ 大阪ダブル選で橋下連合が勝利。デーブ・スペクタープロデュースの橋下徹による大阪のシオニスト植民地化。 「スロウ忍ブログ(2011.11.28)」より ・「既得権益との戦い」(笑)を錦の御旗に推し進められた“弱者切捨て”と“官僚焼け太り”の“コイズミカイカク”の第二段が、今度は大阪から開始されるわけだ。此れから更なる地獄へ叩き落されるであろう大阪府民への見返りは、“数字だけの”虚しい好景気である(プ ------------------------- ■ 大阪市の水道事業を外資に売却したいだけのことだ。 「超高層マンション スカイヲーカー(2011.11.28)」より ・橋したを操る国際金融資本の次なる一手は、大阪市の保有する事業を民営化させ、株式会社にしてその株の大半を買収して支配下に収めてしまうことだ。その目玉はなんといっても、水道事業であり再開発事業だろう。特に大阪市長は、公共事業に絶大な許認可権限を持ってるから、ここを押さえてしまうと外資や外資傘下の事業体がおいしい事業の参入が容易になるのだ。 ・従来、カネがなくて水道代を払わなくても公共団体である大阪市水道事業体は水道を止めなかったが、外資傘下の水道会社は水を売って収益を上げることが目的であって、商売にならない貧困人の福祉に相手にしている余裕はないのだ。つまり、水道代が滞れば即ストップだ。つまり、水道の民営化は貧困人どもの生存権を侵害することになる。終局的にはそれが狙いだ。大阪市の生活保護給付を財政悪化を理由に縮小、ストップし、水道代の払えない貧困人どもから生存に絶対に必要な水を取り上げる。全く、悪魔の所業そのものだ。今後、貧困人に優しかった大阪市は、貧困人を大量虐殺する悪魔の支配する団体に変化するだろう。 ☆ 徹底比較! 橋下vs平松 「選挙JAPAN(2011.11.9)」より ・11月27日に迫った大阪市長選挙。橋下・平松両氏がいがみ合っていることばかりクローズアップされがちだけど、ここでは、ホントに仲が悪いの? 大阪をどうしていくつもり? など、さまざまな疑問を読み解くために、過去の発言や政策を対比します。待ったなしの真っ向勝負、ガチンコのぶつかり合いの末に市長になるのはどっち? あなたなら、どちらのリーダーについて行く? 【放射性物質は無主物?】 ■ 大日本帝国無当責の悪しき伝統 「放射能は無主」と東電 「逝きし世の面影(2011.11.28)」より ・しかし、それにしても凄い話で口があんぐりである。 放射能が無主で誰のものでも無いとしたなら、テロリストが核燃料を強奪しても無罪なのでしょうか。 自分の飼っていた闘犬用の土佐犬とか凶暴なドーベルマンが狂犬病になり檻を破壊して脱走して通行人に噛み付いたが、飼い主(東電)が、檻が壊れた段階で犬の所有権を放棄したので無関係であるとの怖い話に近い。 あるいは中東などで市民が空に向けてカラシニコフで祝砲をぶっ放すのですが、実弾なので何処か地面に必ず落ちてくる。 サッカーワールドカップでイラクが勝ったら流れ弾で死人や怪我人が大勢出たらしいですよ。 大勢が空に向けて撃つので誰が撃ったかの特定が出来ないので流れ弾の被害者は泣き寝入りするしかないが、これは野犬に噛まれたのと同じ扱いですね。 しかし野犬に噛まれても犬の首輪から元々の飼い主が特定出来れば、幾ら野犬でも無主で責任無しにはならないでしょう。 ------------------------- ■ 画期的判断「放射性物質・無主物」論 「脱原発の日のブログ(2011.11.25)」より ・物理的移動で簡単に誰にも責任がなくなるようなイージーな判断で、猛毒物質の厳重管理などできない。 核物質があっという間に管理責任者から放棄されるものだと言うなら、どこであれそんな危険物質は即刻使用禁止にして欲しいものだと言いたい。 ------------------------- ■ 原発事故で発生した放射性物質は無主物!? 「時代をちょっとだけ斬る!(2011.11.26)」より ・これでは東電はどう責任を取るのかを考えているわけではなく、責任を取らないという選択を選んでいるということになる。それでも税金で倒産を免れ、今後も税金で助けてもらう気でいる企業、それが東電だ。ふざけるのもいい加減にしろ! ------------------------- ■ プロメテウスの罠。放射能はだれのものか??無主物とは? 「(有)不動産情報館(2011.11.24)」より ・とても理解できない理論のようであるが、裁判所は、ゴルフ場の訴えを退けている。 なんとも法律家の法律の取り扱いは理解しかねる。 悪臭や騒音に対しての裁判を見聞きするが、この理論でいったら悪臭をまきちらす原因物質は無主物であるので悪臭を発している被告には責任がないということになりはしないか。 なんとも、考えれは考えるほど頭が混乱してしまう話だ。 ------------------------- ■ 放射性物質は東電の所有物ではない。だから除染の責任もない 「樽井さんの読書 電化よもやま日記(2011.11.27)」より ・釣られているのかも知れないけれど、こんな主張は受け入れられないし、もし本当に東電がこんなことを言っているのだとしたら(当然上層部の意見なんだろうけれど)、こんなとこに税金投入して助けてあげないといけないの? それこそ役員に給与を払う必要があるの? 詭弁というもおろかなへりくつにもなっていないでしょう 激しい憤りを覚えます。 ------------------------- ■ >裁判所が、東京電力の<飛散した放射性物質は無主物なので、東電には除染する義務も責任もない>という主張を認め、東京電力に除染を求めた原告の訴えを却下 *無主物=漂う霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもないもの 「地球のつながり方(2011.11.26)」より ・この記事の「放射性物質」と言う言葉を「札束」とか「金塊」とかに代えてみる。 例えば札束が東電の敷地内から飛び散ったとして、札束は無生物だし、もう他人の土地に飛んでいってしまったのだから、所有権は主張しないって訳ね。(^o^)v ・ 有り得ないですよね?余りにもふざけている・・・・しかも訴えが却下とは何なんだろう?この先近い将来に行われるであろう放射能汚染での集団訴訟もこういう調子なんだろうか? ・噴飯ものの東電の主張は置くとして、この決定は司法制度への信頼を揺るがす愚鈍なもののようにも読める。ただ、もしかすると裁判所は案件の内容に照らして、仮処分申請には馴染まないと判断したのかも。本訴で争えと言うのが真意だったりはしないか?当事者の切迫感を他所に、慎重な審議が必要だと判断し仮処分は却下・・・みたいな。この辺の事実関係や根拠が明らかにされるよう続報が待たれる。 ・■ Toshiaki Sonodaさんのフォトアルバム 「facebook」より ------------------------- ■ 「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。」 「院長の独り言(2011.11.25)」より ・まあ、見事な主張です。このような凡例がまかり通るならば、全ての公害裁判は無罪。もちろん、水俣病も無罪となるでしょう。あまりにもトンデモ判決過ぎて、論評する気さえ失せます。裁判官もですが、このような主張を堂々と述べる東京電力-このような会社を存続させるのは、本当に公益にかなうことなのでしょうか。 東電の建物に排泄物をつけたあとに、こういいましょう。 「所有権を観念し得るとしても、既にその排泄物は東電の土地に符合しているはずである。つまり、私が排泄物を所有しているわけではない。」 ------------------------- ■ 原発から飛散した放射性物質は東電の所有物ではない。従って東電は除染に責任を持たない(朝日連載、プロメテウスの罠) 「阿修羅♪(2011.11.24)」より ・07. 2011年11月25日 09 52 39 bW0kgIpTJg これじゃあ日本は まるで無責任、無法地帯じゃないか!なぜ率先して責任を認めないんだ!!東京電力はこの世にもう存在してはならない鼻つまみ企業だ!!! そしてそれを 黙認している国、東京都及び都民も同罪だ!!!! 名古屋人 ・08. 2011年11月25日 10 14 15 C4o01wJ8i2 東電はつぶせ。 不当判決をした裁判官は罷免しろ。 by黙認しない東京都民。 ・17. 2011年11月25日 16 28 41 GezbRF43Hc これで東電は日本国民、すべてを敵にまわしたわけだ。 東電終焉の日も近い! ・20. 2011年11月25日 18 29 47 tF3dJoRIXU 俺の投げる石は俺の所有物ではない。従って俺はその被害に責任を持たない。 ・24. 2011年11月25日 19 10 57 3lAFroBaDo 汚染された土を東電に持っていき、ばら撒いても罪ではないということだな。 ・28. 2011年11月25日 19 53 57 f2bDRcpoc2 自分たちへのテロを煽っているとしか思えん ------------------------- ■ 地裁が、『東電は除染に責任をもたない。』 『なぜなら、放射性物質は東電のものではなく、管理責任がないから。』と判決を下した。ゴルフ場オーナー、ブチギレ。 「日本人の底力を信じます(2011.11.26)」より ・俺が投げた石は俺の所有物ではない。 したがって俺は怪我に責任をもたない。 答弁書で俺は石を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。 無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。 つまり、俺としては、投げた石を所有しているとは考えていない。 したがって検出された石は責任者がいない、と主張する。さらに答弁書は続ける。 「所有権を観念し得るとしても、 既にその石は東電社員に附合しているはずである。 つまり、俺が石を所有しているわけではない」 投石OKです ------------------------- ■ 放射性物質を放出したやつら 「ジージさんのマイページ(2011.11.27)」より ・いま金持ちはなにを考えているんだろう。金を持っていれば核シェルター並の住居に住めるし、空気も水もみんな財力にまかせて浄化システムできれいにし、食料品は外国から取り寄せ、それでもヤバくなったら海外へ逃避すればいいというわけか。運悪く放射線による身体的影響が出ても、しっかり精密検査をやっていれば早期発見早期治療。カネさえかければ大事に至ることもあるまいさ、というわけか。金持ちはイザとなれば南極でも北極でも、好きなところへ逃げられる。そこに快適な住居をかまえてのんびり暮らせる。彼らにしてみれば、庶民とは努力しなかったものたち、知恵を持たず、才覚のなかったものたちということになるのかもしれない。だがね、いつかそんなものたちが奢り高ぶった君らに反撃するときがくるんだよ、覚悟していなさい!・・・と言いたいわけで。 ☆ 東電がばら撒いた放射性物質は『無主物』です 「2chログ速(2011.11.26)」より ・9 地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区) 2011/11/26(土) 10 56 06.00 ID IB4hHKpp0 [1/1回発言] この判決を出したのは福島政幸裁判長。 こいつが裁判官の次にどこに行くのか要チェック。 東電が何をしたのか、よく判るだろう。 ex)「原発は安全」判決書いた最高裁判事が東芝に天下り 司法にも広がる原発マネー汚染 http //www.mynewsjapan.com/reports/1437 ・13 地震雷火事名無し(家) 2011/11/26(土) 11 58 13.88 ID bgMIkX3F0 [1/1回発言] プロメテウスの罠 無主物の責任 1 だれのものでもない 11月24日 放射能はだれのものか。 この夏、それが裁判所で争われた。 8月、福島第一原発から約45キロ離れた二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフクラブ」が東京電力に、 汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。 ―事故のあと、ゴルフコースからは毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、 営業に障害がでている。 責任者の東電が除染をすべきである。 対する東電は、こう主張した。 ―原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。 したがって東電は除染に責任をもたない。 答弁書で東電は「放射性物質をもともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。 無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。 つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。 したがって検出された 放射性物質は責任者がいない、と主張する。 さらに答弁書は続ける。 「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。 つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有しているわけではない」 飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。 そんな主張だ。 決定は10月31日に下された。 裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の訴えを退けた。 ゴルフ場の代表取締役、山根勉(61)は、東電の「無主物」という言葉に腹がおさまらない。 「そんな理屈が世間で通りますか。 無責任きわまりない。 従業員は全員、耳を疑いました」 7月に開催予定だった「福島オープンゴルフ」の予選会もなくなってしまった。 通常は年間3万人の お客でにぎわっているはずだった。 地元の従業員17人全員も9月いっぱいで退職してもらった。 「東北地方でも3本の指に入るコースといわれているんです。 本当に悔しい。 除染さえして もらえれば、いつでも営業できるのに」 東電は「個別の事業には回答できない」(広報部)と取材に応じていない。 .
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分類 中間素材 入手場所 ドルグ集落 入手方法 合成 必要な素材 硬鉄の鉱石×3 入手場所 ハイデル鉱山地帯 燃焼石×2 ハイデル鉱山地帯 このアイテムを素材とするアイテム ・ポイズンロックサイス(小鎌) ・アイアンレムヘッド(頭) ・アイアンレムシューズ(足)
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名 前:エルドラン 通 称:光るおじさん 仇 名:無責任おじさん、光るニート 年 齢:不明 登場作品:絶対無敵ライジンオー、元気爆発ガンバルガー、熱血最強ゴウザウラー、完全勝利ダイテイオー 趣 味:ロボを押し付ける 好きな物:小学生 搭乗機体:一応エルドランロボ全部 備 考 イオニアに集結している超エネルギーの2 侵略者に立ち向かうが、早々に退出して居合わせた子供たちに正義の味方を押し付ける。 「無責任な大人」のメタファーでもあるらしい。 魔王ゴクアークと互角に戦えるので、弱いわけでもないらしい。でも強い印象もない。 一応平行世界の壁をある程度操れる。そのうち普通のスパロボに参戦するかも… ゲッターや、たまに乱入してくるイデの暴走に困っているが、結局先輩のビムラーに泣きついている。
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一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU エリアE-2駅前に3人の男女が居る。 ゴム人間、動く少女人形、アルター使いと多種多様な三人。 彼ら全員、誰もが常軌を逸している存在。 しかし、その事を気に留める者はこの場には誰も居ない。 そう。それよりも気になる事があるのだから。 「私は真紅。人間、お前の名は?」 初めに口を開いたのは、この場で一番背が低い少女。 低いというよりも寧ろ低すぎるといったところか。 生ける人形、ローゼンメイデンの5番目のドール。 赤いヘッドレスを被った人形、それこそが真紅。 言葉と共に、小さく前へ一歩踏み出す。 同時に、ツインテールに結った金髪がふわりと揺れる。 優雅さを失わない振る舞いが、彼女の気品さを窺わせる。 青色の輝きを秘める両眼で真紅は前を見据え、返事を待った。 しかし、暫く待っても返ってくる言葉はない。 真紅の視界には、麦わら帽子を被った一人の少年が確かに居るというのに。 自分の言葉が聞こえていないのだろうか。 そう思い始めた最中、やがて真紅は悟る。 (どうやら、お邪魔だったようね……) 見れば少年の周囲には、赤い血がまばらに散っていた。 理由は既にわかりきっている。 衝撃音を伴わせながら、言い争っていた二人の声が物語る。 つい先程まで戦闘行為が行われていた紛れもない証。 片方の男の声は然程大きくはなかったものの、少年の声は大きかったため良く聞こえていた。 そのために真紅はこの場に来たのだ。 わざわざ様子を見るために少しだけ早足で。 無駄な時間は使いたくはない。 そう思ったからこそ目の前の少年に直ぐに声を掛けた。 何があったのか……そう訊こうと思ったのだが、流石の真紅も次の言葉を繋げない。 理由は簡単だ。たとえ浮かべる表情が見えなくとも、それぐらい見て取る事は容易い。 麦わらの少年は両肩を震わせて、その場に蹲っていた。 本当に、本当に只、何か大きな感情を。 悲しみに打ちひしがれたような様子が、少年の背中からは感じられた。 故に取り敢えずはこれ以上の口出しはやめておこうと真紅は考える。 「聞こえてないんですか? そこのあなた、何か言ったらどうです?」 だが、彼はそんな事は気にも留めないようだ。 思わず溜息を零す真紅。さも呆れたような表情が自然と浮かぶ。 次にややけだるそうに真紅は振り返った。 同行者、橘あすかが大袈裟に、麦わらの少年に対して呼びかける姿が映る。 またあすかは心なしか、いやに生き生きとした様子だ。 少しは場の空気というものを読まないのだろうか。 真紅はやや冷めた目つきであすかを眺めながら、そんな事を思う。 しかし、真紅は同時に何か可笑しくも感じた。 何故なら真紅はあすかの微妙な変化に大体の目星は付いていたのだから。 (きっと嬉しいのね。でも、良くやったのは事実。嬉しいと思う事はわからなくはないのだわ、あすか) 大方、少年と戦っていた人物を追い払った事によるものだろう。 あすかのアルター能力、通称“エタニティ・エイト”は8つの玉を用いる。 様々な用途に応用でき、先程の様に玉による直接的な打撃も可能だ。 実際にあすかは、鮮やかな手際で戦闘を停止させた。 自分の手腕に、少なからず酔っているに違いない。 可笑しさは込み上げ、それは苦笑という形で零れ落ちる。 単純な思考。しかし、それがあすかの初々しさを現わしているようだと真紅は考える。 まあ、少しは褒めてやっても良いかもしれない。 ふとそんな事も思い、真紅はあすかの近くまで歩を進めて―― 「い、いたあああああッ! 何するんです、真紅!?」 「うるさい。あすかの癖に生意気なのだわ」 彼の右足を思いっきり蹴っ飛ばした。 やはり何だか無性に腹立たしい。 こんな事で調子に乗ってもらっては正直困る。 人形と言えども真紅の蹴りは何気に痛い。 ゲシ、という擬音が不気味な程に低く響く。 あすかにしてみれば意味がわからないだろう。 思わず右脚を抱えて、無事な片足であすかはその場でぴょんぴょんと数回飛び跳ねる。 言葉とともに抗議の意を乗せた顔で、あすかは真紅を見返す。 だが、真紅は少しも気に留めていないようだ。 抗議を続けるあすかをあしらうように、真紅は視線を逸らした。 さも鬱陶しそうな挙動は、あすかに対しての扱いが実に粗雑なものだと物語る。 恐らくあれが関係しているのだろう。 以前、あすかが真紅に何の相談もなしに列車への乗車を決めた一件。 自分が無視される事を真紅は特に嫌い、不都合な事や不快な事は割と根に持つ。 まあ、自分が無視する分には別にどうって事はないのだが。 そして真紅は、あすかの事は取り敢えず置いといて、再び視線を向ける。 (反応は……なし。難儀なものね、まったく) 依然として麦わらの少年が沈黙を貫く。 少年は傷を負っているもの、一歩も動けない程の怪我を負っているようには見えない。 では精神的な問題なのだろうか。 何か、余程ショックな事を知ってしまったのだろか。 もしそうであるならば可哀そうだとは思う。 しかし、何も喋ってくれなければこちらも対応のしようがない。 いっそ少し強引にコンタクトを取ってみようか。 そもそも自分が折角言葉を掛けているというのに、ずっと無視されている事は正直気に食わない。 これがあすかならば、今頃蹴りから連なる様々なお仕置きを叩き込んでいるのだが。 少々脱線気味になり始めた思考を軌道修正し、真紅は改めてどうするかを思索する。 そんな時、どこからともなく声が流れ始めた。 『さて時間だ――』 聞き覚えのある男の声。 忘れもしない、主催者であるギラーミンの声色。 何事か、と思いながらも真紅は意識を声に向ける。 見ればあすかも、麦わらの少年の方も微かに反応を見せているようだ。 やがて三人はその耳で聞く事になる。 互いの知り合いの名前を。 もう、出会う事のない彼らの名前を。 ◇ ◇ ◇ 数分で終わりを告げた1回目の定時放送。 しかし、放送が終わった後も口を開く者は一人も居ない。 麦わらの少年は勿論、真紅もあすかも。 只、放送の内容を書き留めたメモ用紙を握りしめているだけだ。 永遠にも感じられてしまいそうな沈黙が、重々しくその場を支配する。 やがて、一人の人物が徐に口を開く。 「……いつまでもこうしているわけにはいきません。行動しましょう、迅速に」 最初に口を開いたのはあすか。 あすかは、メモ用紙と死者の名前に印をつけた名簿をいそいそと片付ける。 その動作にはあまり焦りは見られず、三人の中では一番落ち着いているようだ。 が、あすかが先程の放送で感じた事が何もなかったわけでもない。 6時間で15人の死亡者。大体20%弱、5人に1人は死んでいるこの状況。 こんな殺し合いを以前に行った事はないため、ペースが速いのか遅いのかはわからない。 わかるのは、自分以外の人間が、僅かな6時間の内に15人も死んだ事のみ。 その事実はあすかに衝撃を与え、恐らく真紅と麦わらの少年の場合も同じ事だろう。 そしてあすかにとって衝撃的な事がもう1つあった。 言い方は悪いかもしれないが、名も知らぬ14名の参加者の死亡事実よりも大きな意味を持つ。 そう。一人の参加者の死亡は、あすかにとっては予想外な出来事でしかなかった。 (劉鳳……まさかあなたの絶影が倒されるとは……。 正直、驚いていますよ……あなたの力を知っている身としては) 劉鳳。あすかが所属する、誇り高き治安維持部隊、HOLYの同僚である青年。 エリート隊員で構成されるHOLY部隊の中でも、特に高い実力を持った劉鳳。 絶影と呼ばれるアルターを操り、社会不適合者共を制圧する姿はなんとも頼もしかった。 あすかは劉鳳とプライベートでは特に交流を持った事はない。 しかし、それでも劉鳳が信念を持った、HOLY隊員であるのはわかっていた。 以前、自分と戦ったカズマが、HOLY本部へ単身による奇襲を掛けた事がある。 その際、劉鳳は隊長であるマーティン・ジグマールの身の安全を優先した。 シェルブリッドを受け止めるための絶影を、防衛に回した事により貰った一撃。 劉鳳の技能ならば、そんなものを貰う必要もなかっただろう。 だが、己の身よりも第一にジグマールを死守した劉鳳は、まさに尊敬に値するHOLY隊員といえる。 一人の仲間の死に、あすかは確かに悲しみを覚えるが、いつまでもそうしてはいられない。 (ですが安心してください。 あなたが抜けた穴はこの僕が埋めて見せましょう……そう、エタニティ・エイトの、この橘あすかが……!) それどころかあすかの表情には、最早憂いといったようなものは見られない。 知り合いが死んだというのに、あすかはそれほどショックを受けていなかった。 いや、もしかすれば、その事に気付いていないのかもしれない。 あすかは今、一種の興奮状態のようなものに陥っていた。 A級アルター使いと評され、周囲から一目置かれていた劉鳳。 そんな彼が早々に脱落し、自分はいまも五体満足の状態で生きている。 A級でなくB級である自分が、それも小さな少女という一種のお荷物を抱えているにも関わらず―― 語弊があるかもしれないが、少なくともあすかはその様に認識している。 更に先程の一件から、既に自分の能力を過信している節があった。 故にあすかは更に言葉を続ける事が出来る。 無神経な、周りの事に対して十分に気を配れていない言葉を。 「ほら、いつまでそうしているんです? 先程何があったのか僕達に話して下さい」 一歩踏み出し、前へ進ながらあすかは言葉を掛ける。 目線の先には麦わらの少年。相も変わらず、何も反応を見せない。 寧ろ先程よりも、俯いた表情には険しさが色濃く現れている。 だが、あすかは気づいていない。 真紅が何も言わない事を肯定と受け取り、自分の話を進めていく。 「何故、何も言わないのです? 全く……馬鹿ですか、あなたは? こんところで無駄に時間を費やす暇はないというのに」 次第に苛立ちが募ってきたのだろう。 あすかは呆れかえったような様子を見せる。 頭を左右へ振り、自分にはまるで少年の行動が、さも理解出来ないといった仕草。 かといってこのまま状況が変わらなければ、あすかの方も都合が悪い。 よってあすかは少しだけ考える事にしてみた。 少年が何故ここまで自分を無視するのか――、と。 難しいことではない。答えは案外早く理解出来た。 「誰か知り合いが死んだのですか? お気持は察しますがそろそろいいでしょう?」 死んだ。 同時に、麦わらの少年が身体を震えるように揺らす。 確かな動きが垣間見えるが、あすかはまたしても気づかない。 反応を言葉には示さなかったためだ。 またしても沈黙か。あすかが認識したのは、その程度の事ぐらい。 あすかは慣れの感覚すらも覚え始め、更に再び歩を進めていく。 隣にいる真紅から離れ、麦わらの少年の方へ。 これで最後だ。半ば投げやり気味に言葉を吐き捨てるように紡ぐ。 「受け止めないといけない、彼らは死んだのです」 手を少年の方へ伸ばす。 これ以上何も反応がなければ、強引にでも振り向かせてやろう。 いっそエタニティエイトによる干渉を行い、知っている事を洗いざらい聞き出すか。 それでもいいかもしれない。 少年の態度によって今まで積もった鬱憤から、あすかはそう思い始める。 この言葉が、これから言おうとする言葉が少年にとってどういう意味を持つのか。 それを考える気遣いは生憎あすかにはない。 だから、あすかは言った。ある意味では正しい、そしてある意味残酷な言葉を。 「今更何をしても意味がない、もう――“仕方ないんですよ”」 これ以上言う事もないだろう。 既に何もかも手遅れなのだ。自分が言った事は、なんら間違っていない。 伝えるべき事は言ったという様子で、あすかは腰を落とした後に手に力を込める。 少年の肩をしっかりと掴む。未だ立ち直れない少年の心が、とても脆弱なものだと思う。 こんなものではこの先生きてはいけないのではないか。 ふと、少年の事をどこか他人事のようにあすかは考える。 まあ、こんな礼儀も知らないような少年は、どうせ赤の他人に変わりはないのだが。 そんな時あすかは――感じた。 急に身体全体が前へ引っ張られるような感覚が襲う。 何が起きたのかを理解する前に、視界に入ってきたものが一つ。 それは―― 「仕方ない――なんて言うんじゃねぇ!」 今まで何も反応を見せなかった少年の大きな顔がそこにあった。 海賊王を目指す少年――ルフィ。 麦わら海賊団船長があすかをその両眼で睨んでいた。 ◇ ◇ ◇ ルフィはいきなり立ち上がり、同時に振り向く。 驚いた様子のあすかを気にも留めずに、彼の胸倉を掴み、中腰の姿勢であった彼を引き上げる。 両眼を見開き、真っ黒な瞳であすかを正面から睨んでいる。 その迫力は凄まじく、思わずあすかは言葉を失う。 大事な制服を乱暴に扱われている事の抗議すらも口に出せない。 理屈ではない。 自分の言葉が、何かを引き起こしてしまった事を本能であすかは理解する。 あすかに出来る事は限られている。 唖然としたまま、あすかはルフィの言葉を黙って聞き入れる事ぐらいしかなかった。 「ウソップが死んじまったコトを“仕方なかった”で片付けられるかよ……! あいつとの思い出は、おれ達の冒険は……そんなちっぽけなものじゃない!」 ルフィが片腕に力を込めながら叫ぶ。 更に制服を引っ張られたため、あすかの表情が痛みにより僅かに歪む。 しかし、ルフィは止まらない。 麦わら海賊団の狙撃手であるウソップの死。 ルフィにとっては予想していなかった出来事であり、且つ悲しみを覚えずにはいられなかった。 付き合いは長い。海賊団の中でも、入団の時期は前から数えた方が早い。 当然、ウソップとは様々な思い出があった。 笑った。くだらないコトを言って、大いに笑い合った。 冒険の途中で出会った敵と共に戦い、仲間の絆を確かめ合った。 ルフィ以外の仲間達には、直ぐばれるような嘘を何度も言っていたウソップ。 喧嘩したこともあった。海賊団から抜けた時もあった。 忘れる事もない、あの時ウソップと行った決闘。 彼の強さを、仲間としての心強さを改めて確認したあの瞬間が鮮明に蘇る。 あの嘘が、どこか憎めない笑顔が、もう自分達の海賊団では見られない。 もう二度と、何があろうともウソップが、自分の名前を口にする事もない。 いつの事だったか、そげきキングと名乗った、あの愉快な狙撃手がもう帰ってくる事はない。 たとえ何があろうとも、自分達の冒険に終わりが見えたとしても――絶対に。 そう思うとルフィは悲しみと共に、どうしようもない悔しさが込み上げてくるのを確かに感じた。 「ウソップは大事な仲間だったんだ……おれ達の、大事な……仲間だったんだあああああああああああああああ!!」 一際大きな声。 怒り、悲しみ、後悔――幾つもの感情が混ざり合って、大きな流れを作り出す。 幾ら叫んだとしても、ウソップの死を覆せはしない。 そう、結局こんな事には意味がない。もう“仕方がない”事なのだ。 頭ではわかっていようとも、ルフィは黙って受け入れたくはなかった。 麦わら海賊団の団長である自分が受け入れてしまう そうすれば、ウソップの存在が、本当に何処か遠くへ行ってしまいそうで――怖かった。 今まで命の危機を感じる事はあったが、自分や知り合いが実際に命を落とすまでの事は多くなかった。 しかもウソップが命を落とした理由が、見知らぬ男が開催した殺し合いによるものときている。 馬鹿げた事だ、本当に馬鹿げている。 何故、ウソップがこんな場所で死ななければいけなかったのか。 ウソップを殺した奴を許せないと思うと同時に、ギラーミンに対しても怒りを燃やす。 勿論、ウソップだけではない。 エルルゥ、先程の放送で知ったトウカ、そして戦ったばかりであるベナウィを始めとした14人も忘れられない。 エルルゥの墓と交わした約束を既に破ってしまった事による申し訳なさを力へ変える。 ギラーミンを倒す力へ、大切な仲間を守るための力へ――ルフィはひとえにそれを望む。 だが、突如として襲いかかった事実に対し、ルフィは慟哭をあげる。 「……あなたの話はわかりました。ですが、やはりもう仕方のないことであって、それよりも――」 「わかってる! わかってるけど、おれは……おれは……!」 「い、いい加減に離して下さい!」 一方、あすかの方はルフィの馬鹿力から逃れようともがく。 ルフィの叫びから、自分がずけずけとものを言い過ぎたのはわかっているのだろう。 しかし、先ずはこの不愉快な拘束から逃れようとあすかは身を動かす。 生憎、興奮状態にあるルフィを、落ち着かせるという選択肢はあすかにはなかった。 そしてルフィの方は、あすかの抵抗に応えるように腕の力を強める。 理由は定かではないが、半ば無意識的に行ってしまったのだろう。 逃げようとするあすかを引きよせる形となる。 その挙動は自分の激情を知ってもらいたいような素振りにも見えた。 そんな時、二人の元へ駆け寄る影が1つあった。 「……二人とも、ちょっと屈んでちょうだい」 言うまでもない、真紅だ。 言い争っていたルフィとあすかは一瞬、言葉を詰まらせる。 二人は訝しげに真紅を見やるが、さも真剣な眼差しを返される。 次に互いに視線を合わせ、目配せをほぼ同時に行った。 どうする――?、と奇しくも彼ら二人はこの時は妙に気があった。 真紅はその様子を見て、間髪入れずに再び口を開く。 「さっさとしなさい!」 一声。 両腕を組み、悠然と構えながら真紅はそう叫ぶ。 明らかに怒り――いや、苛立ちといった方が正しいかもしれない。 兎に角、好意的な感情が籠っていない声である事は確かだ。 ここは一応言う通りにして置こう。 そう思い、逸早くあすかが腰を屈ませて、ルフィもその動きにつられる。 二人の目線は下がり、真紅のそれとの距離は近くなる。 これからどうするのだろう。 尤もな疑問を抱く二人を余所に、真紅は徐につま先立ちで、少し背を伸ばして―― 「「う、うわ!」」 二人の頬を平手ではなく、真紅は自慢のツインテールで力強く叩いた。 真紅のツインテールによる打撃は、ローゼンメイデンの姉妹達の中でもその鋭さには定評がある。 特にですです人形こと翠星石いわく――“進化している”、だそうだ。 そして予想外だったのだろう。 彼ら二人は程度に違いはあれど、それぞれ驚きの言葉を口にする。 真紅はその様子を、ジトーと冷たげな視線を送りながら確認。 溜息混じりに言葉を紡ぐ。 「少しは落ち着いたかしら?」 「あ、ああ……悪い」 真紅の言葉が示すとおり、彼女はルフィの動揺を落ち着かせる事を狙っていた。 対するルフィは素直に礼を返す。 実際、完全とはいえないまでも落ち着きは徐々に戻っている。 ゴム人間であるルフィには、先程の打撃はあまり効きはしなかったが、多少の刺激にはなった。 青色の輝き、どこか造られた感が拭えない真紅の瞳がルフィを静めていく。 真紅はルフィの様子を観察し、やがて満足げに小さな笑みを浮かべる。 どうやら上手くいったようだ。 不意に真紅自身にも安堵のようなものが生まれる。 だが、そんな時無粋な言葉が横から突っかかる。 「ところで真紅、何故僕まで? 落ち着かせるのであれば彼だけで良かったのでは……?」 「……ちっ、細かいわね。別に減るもんじゃないし良いじゃない」 「は、はぁ!? なんですか、その態度は!? あなたの中では僕は一体どういう扱いなのですか!?」 「下僕よ」 「は、初耳だ!? しかも即答ですか!? 」 「……おまえら、見てるとなんか面白いな!」 「見世物じゃありませんよーーーーー!!」 ルフィの表情には段々と生気が漲り出す。 あすかの方も先程抱いた、己の力への過信も、ルフィに対する嫌悪もどこかへ失せたような様子だ。 しかし、二人は気づいていない。 真紅は確かに笑ってはいた。 目線を逸らし、さも捻くれた様子であらぬ方向を見ている。 だが、その笑みの奥底では耐え難いものがひっそりと隠れていたことに。 そう、真紅もまた大きな衝撃を覚えていたのだから。 先程の放送に対して。 ◇ ◇ ◇ 「じゃあ、おれはいくぜ。ゾロ達やハクオロ、アルルゥ、カルラって人達に会ったらよろしくな!」 「ええ、わかったのだわ。ルフィ」 「よし! 頼むぜ! “チンク”」 「……微妙に違うのだわ」 「あれ? あーーー真紅だったか! 悪い悪い!」 「先行きが不安ですねぇ……」 「うるせぇぞ、“むすか”」 「ほら、また間違ってるじゃないですか! あすかですよ、橘あ・す・か!」 ポンと手を叩き、いしししと特徴的な笑みを作りながら、得心がいった様子を見せるルフィ。 真紅とあすかの方はというと、自然と溜息を零している。 ルフィを知る者ならば、予想には容易い。 案の定、彼らの名前を字間違えながら、ルフィは彼らと別れの挨拶をする。 一緒に行動しようとは思ったが、分散した方が互いの知り合いと合流できる可能性も高くなる。 既に知り合いの何人かが死んでしまった現状であり、ぐずぐずしている暇はない。 あすかもまたルフィに対する蟠りは捨てきれず、結局ルフィとは別行動を取ることに決めていた。 そのため、ルフィとあすかの仲はあまり良いものとは言えない。 まあ、あすかの方が少し過剰気味に、ルフィを毛嫌いしている節が少しあったのだが。 ちなみに互いの知り合いの名前や、放送があるまでの簡単な行動についての情報交換は終えている。 真紅とあすかが齎した、この会場がループしている情報はルフィを大いに驚かせた。 一方ルフィが教えたのは二人の危険人物の情報であり、真紅とあすかは彼らの特徴などを深く記憶した。 「えーーーっとそれで真紅の知り合いが翠星石、蒼星石。あすかの知り合いはカズマ、クーガーでいいんだよな?」 そして参加者名簿を片手にルフィが確認する。 但し、カズマの方は知り合いといってもあすかとは敵対関係にある。 また、この殺し合いに呼ばれた時点では、無常矜持とあすかに接点はないため、彼の事には触れていない。 あすかはその旨を伝えて、ルフィはしっかりと頷く。 しかし、真紅の方は首を縦には振らない。 「それと水銀燈もだわ」 「お? わかったわかった。よし、これで……と。それでこいつとはどういう関係なんだ?」 「……姉妹よ。長い間仲が悪い、姉妹の内の一人だわ」 「ふーん、そっかぁ……」 手で頭を掻きながら。ルフィはしげしげと水銀燈の名前を見つめる。 何か疑問を抱いたのだろうか。 真紅はルフィの仕草からそう考えるが、心辺りはない。 もしや此処に来るまでに出会った事があるのかもしれない。 名前の間違いから、ルフィの記憶力がお世辞にもいいものではないのは事実。 だが、水銀燈を含めてローゼンメイデンは人形であり、その外見は特徴的だ。 よって流石にそれはないだろうと真紅は密かに思う。 ルフィはそんな真紅の様子に気付く由もなく、言葉を続ける。 「でも、昔は仲良しだったんだよな? 真紅と水銀燈は?」 「え、ええ……そうね」 真っ黒な瞳。 純粋な、一点の曇りもない瞳はルフィの人間性を映し出す。 その瞳と言葉を突き付けられて、真紅は詰まりながらも返事を返す。 仲良し――確かにそうだった。 以前、本当に以前には午後の紅茶を楽しんだりもした。 未だアリスゲームが始める前の、一世紀以上も前の出来事。 当事者である真紅ですらも既に色褪せたものでしかなく、今となっては遠い夢の記憶にも等しかった。 だが、その事を知らない筈のルフィは、さも当然のように言い放つ。 「だったらおれが真紅と水銀燈を会わしてやるよ! 姉妹なら仲良しの方が良いに決まってるだろ!」 力強くルフィはそう宣言する。 真紅はアリスゲームを、姉妹同士で互いに戦い合う宿命はルフィには教えていない。 もしその事を言ってしまえば、ルフィはきっと心の底からアリスゲームの是非を疑うに違いない。 間違いない。ルフィの性格からそうに決まっている。 出会ってから僅かな時間しか経っていないにも関わらず、真紅は確信が持てた。 愚直なまでに真っ直ぐな心が、ルフィの言葉からひしひしと感じる事が出来たのだから。 最早水銀燈との関係の修復は無理だと思っていても、なんだか少しは望みが持てる気すらもしてくる。 きっとこれもルフィの人柄が成せる事のなのだろう。 真紅の沈黙を肯定の意と受け取り、ルフィは満足げに笑う。 真っ白な前歯を惜しげもなく見せびらかして―― 「じゃあ、また絶対に会おうな!!」 心の奥底で死んでいった者達を留めながら。 掛け替えのない仲間を、未だ見ぬ仲間達との合流を焼きつける。 そして味わった悲しみを忘れない様に――ルフィは走り出していった。 いつもより少し寂しげな背中を見せながら、それでいて足取りはしっかりと。 【E-2 駅周辺 1日目 朝】 【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】 [状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 ウソップ達の死に悲しみ(出来るだけ我慢している) [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの [思考・状況] 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く 2:ギラーミンブッ飛ばす! 3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす! 4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ! 5:翠星石、蒼星石、水銀燈、クーガーとの合流。カズマには注意。 【備考】 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。 ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、 庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています ※真紅、あすかと情報交換をし、一回目の放送までの二人の行動を大体知りました。また、会場がループしている事も聞きました。 ※何処へ向かうかは次の方にお任せします ◇ ◇ ◇ 「行ったか……騒がしい奴だったな……」 駅のホームに備え付けられたベンチに腰掛け、あすかは言葉を発する。 落とした視線の先には、しわくちゃになった自身の制服。 ルフィの力がいかに相当なものであったかを今でも思い知らさせる。 アルターもないのにこれ程までとは――実際にルフィと戦わずに済んだことに、つい安堵を覚えてしまう。 そうだ。たとえアルター使いではなくとも、劉鳳を打ち倒す程の参加者が居るのだ。 浮きたった自分を見つめ直し、あすかは気を引き締める。 何故なら自分は死ぬわけにはいかない。 大事な、大事な恋人があそこで自分を待っているのだから。 「しかし、真紅は遅い。全くこれだから……」 待つと言えば今の自分もそうだ。 あすかは電車を待つと同時に、真紅の事も待っている。 以前、あすかは真紅に会場全体を回ってみたいと提案し、それを実行に移すためだ。 となれば此処から最も離れた駅はG-7にあり、取り敢えずの目的地は其処に決めていた。 但し、知り合いや協力してくれる参加者を捜す為に、途中でC-4の駅で降り、ある程度の探索をするつもりだが。 しかし、真紅はルフィと別れた後、少し用があるからあすかに対し先に行くようにと言った。 何故だろうか。改めて理由をあすかは考えるが――やがて、答えに辿り着く。 「そ、そうか! 確か真紅の知り合いに……」 何故気づかなかったのか。 劉鳳の死から湧きあがった優越感、そしてルフィの対処に気を取らていたのかもしれない。 真相は判らないが、あすかはそれよりも今の真紅が心配になった。 そう。先程の放送で呼ばれた桜田ジュンという名前は―― 「待たせたわね、あすか」 そんな時、真紅がゆっくりとした足取りで階段を上り、あすかの方へ進んでいく。 凛とした表情、歩の進め方は堂々としている。 あすかは何かを言い掛けようとするが、口を半開きにしたまま、何も言えない。 驚いたような目つきによる視線の先には、真紅の小さな顔。 真紅の表情には歪みはなく、至って平然な様子だ。思わずあすかは言葉を失う。 やがて電車の到着を知らせる警音が響き、程なくして二人の前で自動ドアが開く。 「さぁ……行くわよ」 真紅の声のトーンが、心なしか落ちたことにあすかは気づく。 ハッとした様子をあすかは見せるが、言葉には出さない。 只、力強く真紅の言葉に頷く。 真紅はあすかの無言の応答を横眼でちらりと見る。 (ジュン……おまえは良く頑張ったのだわ) 思い浮かべる。 桜田ジュン。真紅の現在の契約者であり、力の供給源――ミーディアム(媒介者)。 ジュンはお世辞にも優秀な契約者とは言えなかった。 体力はなければ、特に秀でた能力もない。 とある事情で学校とやらにも行かず、他者からの干渉を嫌った。 だが、ジュンはあの日巻いたのだ。 ローゼンメイデンの螺子を巻き、アリスゲームに関わる資格を否応なしに受け取った。 そこから始まったジュンとの生活の思い出は一際色濃い。 今までアリスゲームが中断される度に、何度も何度も契約者を変えてきた真紅の中では。 以前、自分の身体から引き抜かれた両腕を、ジュンが元通りにしてくれた事があった。 あの時は素直にジュンの素晴らしさを褒めた。 誇りに出来るように、自分への自信が持てるように――そう願った。 いつかジュンが自分の足で、外の世界に向かって歩いていける事をひとえに。 だが、ジュンは死んだ。 どこの誰かもわからない参加者に。 一人で居たのならきっと一方的に殺されたのだろう。 悔しいとは思う。悲しいとは思う。 何故ジュンがそんな目に遭わないといけないのかと思う感情は当然ある。 しかし、あすかが言ったようにもう仕方ないのだ。 既に自分自身へその事を納得させる時間は十分に取った。 つい先程までの空白の時間の使用の用途がそれだ。 そして今すべき事は前に進むことだと真紅は信じる。 自分とジュンの立場がもし逆であれば、自分はそう望むだろうから。 “縛る”過去にはしたくはない。 後悔に押し潰されて、自分の未来を潰すような過去には。 だから忘れてはいけない過去にしよう。 今まで確かに、自分のミーディアムが居た事を。 大事な存在であった、桜田ジュンという少年が確かに傍に居た事を―― 真紅は小さな胸と心に深く刻む。 (だから、また――会いましょう。 今度はまた違った出会い方で。たとえばあなたが螺子を巻かなかった世界……もしそんな世界があるのなら……ね) 腰を落としていたあすかに眼もくれずに、真紅が数歩の助走を経て電車に飛び乗る。 きっと真紅の歩幅では乗車は難しいと思っていたのだろう。 良い心がけだ。妥協点を上げても悪くはない。 そんな事を思い、ジュンに対して、叶う事のない願望を混ぜた言葉を送る。 振り向き、慌てて自分の方も車内に乗り込んでくるあすかを見据えた。 「もう、何も失わせないためにも」 その眼差しには強い意思を乗せて。 【E-2 列車内 1日目 朝】 【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】 【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0~2個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。 2:列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。 【備考】 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降) ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました 【橘あすか@スクライド(アニメ版)】 【装備】:なし 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る。 2:列列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない 【備考】 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作5話辺り) ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました 時系列順で読む Back 方針 Next エル・ブエロ・ガザ・デ・フローレンシア 投下順で読む Back 方針 Next エル・ブエロ・ガザ・デ・フローレンシア Back Next 想いは簡単に届かない モンキー・D・ルフィ 救いと因果と 想いは簡単に届かない 真紅 エデンの蛇(前編) 想いは簡単に届かない 橘あすか エデンの蛇(前編)
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一歩踏み出して ◆Wott.eaRjU エリアE-2駅前に3人の男女が居る。 ゴム人間、動く少女人形、アルター使いと多種多様な三人。 彼ら全員、誰もが常軌を逸している存在。 しかし、その事を気に留める者はこの場には誰も居ない。 そう。それよりも気になる事があるのだから。 「私は真紅。人間、お前の名は?」 初めに口を開いたのは、この場で一番背が低い少女。 低いというよりも寧ろ低すぎるといったところか。 生ける人形、ローゼンメイデンの5番目のドール。 赤いヘッドレスを被った人形、それこそが真紅。 言葉と共に、小さく前へ一歩踏み出す。 同時に、ツインテールに結った金髪がふわりと揺れる。 優雅さを失わない振る舞いが、彼女の気品さを窺わせる。 青色の輝きを秘める両眼で真紅は前を見据え、返事を待った。 しかし、暫く待っても返ってくる言葉はない。 真紅の視界には、麦わら帽子を被った一人の少年が確かに居るというのに。 自分の言葉が聞こえていないのだろうか。 そう思い始めた最中、やがて真紅は悟る。 (どうやら、お邪魔だったようね……) 見れば少年の周囲には、赤い血がまばらに散っていた。 理由は既にわかりきっている。 衝撃音を伴わせながら、言い争っていた二人の声が物語る。 つい先程まで戦闘行為が行われていた紛れもない証。 片方の男の声は然程大きくはなかったものの、少年の声は大きかったため良く聞こえていた。 そのために真紅はこの場に来たのだ。 わざわざ様子を見るために少しだけ早足で。 無駄な時間は使いたくはない。 そう思ったからこそ目の前の少年に直ぐに声を掛けた。 何があったのか……そう訊こうと思ったのだが、流石の真紅も次の言葉を繋げない。 理由は簡単だ。たとえ浮かべる表情が見えなくとも、それぐらい見て取る事は容易い。 麦わらの少年は両肩を震わせて、その場に蹲っていた。 本当に、本当に只、何か大きな感情を。 悲しみに打ちひしがれたような様子が、少年の背中からは感じられた。 故に取り敢えずはこれ以上の口出しはやめておこうと真紅は考える。 「聞こえてないんですか? そこのあなた、何か言ったらどうです?」 だが、彼はそんな事は気にも留めないようだ。 思わず溜息を零す真紅。さも呆れたような表情が自然と浮かぶ。 次にややけだるそうに真紅は振り返った。 同行者、橘あすかが大袈裟に、麦わらの少年に対して呼びかける姿が映る。 またあすかは心なしか、いやに生き生きとした様子だ。 少しは場の空気というものを読まないのだろうか。 真紅はやや冷めた目つきであすかを眺めながら、そんな事を思う。 しかし、真紅は同時に何か可笑しくも感じた。 何故なら真紅はあすかの微妙な変化に大体の目星は付いていたのだから。 (きっと嬉しいのね。でも、良くやったのは事実。嬉しいと思う事はわからなくはないのだわ、あすか) 大方、少年と戦っていた人物を追い払った事によるものだろう。 あすかのアルター能力、通称“エタニティ・エイト”は8つの玉を用いる。 様々な用途に応用でき、先程の様に玉による直接的な打撃も可能だ。 実際にあすかは、鮮やかな手際で戦闘を停止させた。 自分の手腕に、少なからず酔っているに違いない。 可笑しさは込み上げ、それは苦笑という形で零れ落ちる。 単純な思考。しかし、それがあすかの初々しさを現わしているようだと真紅は考える。 まあ、少しは褒めてやっても良いかもしれない。 ふとそんな事も思い、真紅はあすかの近くまで歩を進めて―― 「い、いたあああああッ! 何するんです、真紅!?」 「うるさい。あすかの癖に生意気なのだわ」 彼の右足を思いっきり蹴っ飛ばした。 やはり何だか無性に腹立たしい。 こんな事で調子に乗ってもらっては正直困る。 人形と言えども真紅の蹴りは何気に痛い。 ゲシ、という擬音が不気味な程に低く響く。 あすかにしてみれば意味がわからないだろう。 思わず右脚を抱えて、無事な片足であすかはその場でぴょんぴょんと数回飛び跳ねる。 言葉とともに抗議の意を乗せた顔で、あすかは真紅を見返す。 だが、真紅は少しも気に留めていないようだ。 抗議を続けるあすかをあしらうように、真紅は視線を逸らした。 さも鬱陶しそうな挙動は、あすかに対しての扱いが実に粗雑なものだと物語る。 恐らくあれが関係しているのだろう。 以前、あすかが真紅に何の相談もなしに列車への乗車を決めた一件。 自分が無視される事を真紅は特に嫌い、不都合な事や不快な事は割と根に持つ。 まあ、自分が無視する分には別にどうって事はないのだが。 そして真紅は、あすかの事は取り敢えず置いといて、再び視線を向ける。 (反応は……なし。難儀なものね、まったく) 依然として麦わらの少年が沈黙を貫く。 少年は傷を負っているもの、一歩も動けない程の怪我を負っているようには見えない。 では精神的な問題なのだろうか。 何か、余程ショックな事を知ってしまったのだろか。 もしそうであるならば可哀そうだとは思う。 しかし、何も喋ってくれなければこちらも対応のしようがない。 いっそ少し強引にコンタクトを取ってみようか。 そもそも自分が折角言葉を掛けているというのに、ずっと無視されている事は正直気に食わない。 これがあすかならば、今頃蹴りから連なる様々なお仕置きを叩き込んでいるのだが。 少々脱線気味になり始めた思考を軌道修正し、真紅は改めてどうするかを思索する。 そんな時、どこからともなく声が流れ始めた。 『さて時間だ――』 聞き覚えのある男の声。 忘れもしない、主催者であるギラーミンの声色。 何事か、と思いながらも真紅は意識を声に向ける。 見ればあすかも、麦わらの少年の方も微かに反応を見せているようだ。 やがて三人はその耳で聞く事になる。 互いの知り合いの名前を。 もう、出会う事のない彼らの名前を。 ◇ ◇ ◇ 数分で終わりを告げた1回目の定時放送。 しかし、放送が終わった後も口を開く者は一人も居ない。 麦わらの少年は勿論、真紅もあすかも。 只、放送の内容を書き留めたメモ用紙を握りしめているだけだ。 永遠にも感じられてしまいそうな沈黙が、重々しくその場を支配する。 やがて、一人の人物が徐に口を開く。 「……いつまでもこうしているわけにはいきません。行動しましょう、迅速に」 最初に口を開いたのはあすか。 あすかは、メモ用紙と死者の名前に印をつけた名簿をいそいそと片付ける。 その動作にはあまり焦りは見られず、三人の中では一番落ち着いているようだ。 が、あすかが先程の放送で感じた事が何もなかったわけでもない。 6時間で15人の死亡者。大体20%弱、5人に1人は死んでいるこの状況。 こんな殺し合いを以前に行った事はないため、ペースが速いのか遅いのかはわからない。 わかるのは、自分以外の人間が、僅かな6時間の内に15人も死んだ事のみ。 その事実はあすかに衝撃を与え、恐らく真紅と麦わらの少年の場合も同じ事だろう。 そしてあすかにとって衝撃的な事がもう1つあった。 言い方は悪いかもしれないが、名も知らぬ14名の参加者の死亡事実よりも大きな意味を持つ。 そう。一人の参加者の死亡は、あすかにとっては予想外な出来事でしかなかった。 (劉鳳……まさかあなたの絶影が倒されるとは……。 正直、驚いていますよ……あなたの力を知っている身としては) 劉鳳。あすかが所属する、誇り高き治安維持部隊、HOLYの同僚である青年。 エリート隊員で構成されるHOLY部隊の中でも、特に高い実力を持った劉鳳。 絶影と呼ばれるアルターを操り、社会不適合者共を制圧する姿はなんとも頼もしかった。 あすかは劉鳳とプライベートでは特に交流を持った事はない。 しかし、それでも劉鳳が信念を持った、HOLY隊員であるのはわかっていた。 以前、自分と戦ったカズマが、HOLY本部へ単身による奇襲を掛けた事がある。 その際、劉鳳は隊長であるマーティン・ジグマールの身の安全を優先した。 シェルブリッドを受け止めるための絶影を、防衛に回した事により貰った一撃。 劉鳳の技能ならば、そんなものを貰う必要もなかっただろう。 だが、己の身よりも第一にジグマールを死守した劉鳳は、まさに尊敬に値するHOLY隊員といえる。 一人の仲間の死に、あすかは確かに悲しみを覚えるが、いつまでもそうしてはいられない。 (ですが安心してください。 あなたが抜けた穴はこの僕が埋めて見せましょう……そう、エタニティ・エイトの、この橘あすかが……!) それどころかあすかの表情には、最早憂いといったようなものは見られない。 知り合いが死んだというのに、あすかはそれほどショックを受けていなかった。 いや、もしかすれば、その事に気付いていないのかもしれない。 あすかは今、一種の興奮状態のようなものに陥っていた。 A級アルター使いと評され、周囲から一目置かれていた劉鳳。 そんな彼が早々に脱落し、自分はいまも五体満足の状態で生きている。 A級でなくB級である自分が、それも小さな少女という一種のお荷物を抱えているにも関わらず―― 語弊があるかもしれないが、少なくともあすかはその様に認識している。 更に先程の一件から、既に自分の能力を過信している節があった。 故にあすかは更に言葉を続ける事が出来る。 無神経な、周りの事に対して十分に気を配れていない言葉を。 「ほら、いつまでそうしているんです? 先程何があったのか僕達に話して下さい」 一歩踏み出し、前へ進ながらあすかは言葉を掛ける。 目線の先には麦わらの少年。相も変わらず、何も反応を見せない。 寧ろ先程よりも、俯いた表情には険しさが色濃く現れている。 だが、あすかは気づいていない。 真紅が何も言わない事を肯定と受け取り、自分の話を進めていく。 「何故、何も言わないのです? 全く……馬鹿ですか、あなたは? こんところで無駄に時間を費やす暇はないというのに」 次第に苛立ちが募ってきたのだろう。 あすかは呆れかえったような様子を見せる。 頭を左右へ振り、自分にはまるで少年の行動が、さも理解出来ないといった仕草。 かといってこのまま状況が変わらなければ、あすかの方も都合が悪い。 よってあすかは少しだけ考える事にしてみた。 少年が何故ここまで自分を無視するのか――、と。 難しいことではない。答えは案外早く理解出来た。 「誰か知り合いが死んだのですか? お気持は察しますがそろそろいいでしょう?」 死んだ。 同時に、麦わらの少年が身体を震えるように揺らす。 確かな動きが垣間見えるが、あすかはまたしても気づかない。 反応を言葉には示さなかったためだ。 またしても沈黙か。あすかが認識したのは、その程度の事ぐらい。 あすかは慣れの感覚すらも覚え始め、更に再び歩を進めていく。 隣にいる真紅から離れ、麦わらの少年の方へ。 これで最後だ。半ば投げやり気味に言葉を吐き捨てるように紡ぐ。 「受け止めないといけない、彼らは死んだのです」 手を少年の方へ伸ばす。 これ以上何も反応がなければ、強引にでも振り向かせてやろう。 いっそエタニティエイトによる干渉を行い、知っている事を洗いざらい聞き出すか。 それでもいいかもしれない。 少年の態度によって今まで積もった鬱憤から、あすかはそう思い始める。 この言葉が、これから言おうとする言葉が少年にとってどういう意味を持つのか。 それを考える気遣いは生憎あすかにはない。 だから、あすかは言った。ある意味では正しい、そしてある意味残酷な言葉を。 「今更何をしても意味がない、もう――“仕方ないんですよ”」 これ以上言う事もないだろう。 既に何もかも手遅れなのだ。自分が言った事は、なんら間違っていない。 伝えるべき事は言ったという様子で、あすかは腰を落とした後に手に力を込める。 少年の肩をしっかりと掴む。未だ立ち直れない少年の心が、とても脆弱なものだと思う。 こんなものではこの先生きてはいけないのではないか。 ふと、少年の事をどこか他人事のようにあすかは考える。 まあ、こんな礼儀も知らないような少年は、どうせ赤の他人に変わりはないのだが。 そんな時あすかは――感じた。 急に身体全体が前へ引っ張られるような感覚が襲う。 何が起きたのかを理解する前に、視界に入ってきたものが一つ。 それは―― 「仕方ない――なんて言うんじゃねぇ!」 今まで何も反応を見せなかった少年の大きな顔がそこにあった。 海賊王を目指す少年――ルフィ。 麦わら海賊団船長があすかをその両眼で睨んでいた。 ◇ ◇ ◇ ルフィはいきなり立ち上がり、同時に振り向く。 驚いた様子のあすかを気にも留めずに、彼の胸倉を掴み、中腰の姿勢であった彼を引き上げる。 両眼を見開き、真っ黒な瞳であすかを正面から睨んでいる。 その迫力は凄まじく、思わずあすかは言葉を失う。 大事な制服を乱暴に扱われている事の抗議すらも口に出せない。 理屈ではない。 自分の言葉が、何かを引き起こしてしまった事を本能であすかは理解する。 あすかに出来る事は限られている。 唖然としたまま、あすかはルフィの言葉を黙って聞き入れる事ぐらいしかなかった。 「ウソップが死んじまったコトを“仕方なかった”で片付けられるかよ……! あいつとの思い出は、おれ達の冒険は……そんなちっぽけなものじゃない!」 ルフィが片腕に力を込めながら叫ぶ。 更に制服を引っ張られたため、あすかの表情が痛みにより僅かに歪む。 しかし、ルフィは止まらない。 麦わら海賊団の狙撃手であるウソップの死。 ルフィにとっては予想していなかった出来事であり、且つ悲しみを覚えずにはいられなかった。 付き合いは長い。海賊団の中でも、入団の時期は前から数えた方が早い。 当然、ウソップとは様々な思い出があった。 笑った。くだらないコトを言って、大いに笑い合った。 冒険の途中で出会った敵と共に戦い、仲間の絆を確かめ合った。 ルフィ以外の仲間達には、直ぐばれるような嘘を何度も言っていたウソップ。 喧嘩したこともあった。海賊団から抜けた時もあった。 忘れる事もない、あの時ウソップと行った決闘。 彼の強さを、仲間としての心強さを改めて確認したあの瞬間が鮮明に蘇る。 あの嘘が、どこか憎めない笑顔が、もう自分達の海賊団では見られない。 もう二度と、何があろうともウソップが、自分の名前を口にする事もない。 いつの事だったか、そげきキングと名乗った、あの愉快な狙撃手がもう帰ってくる事はない。 たとえ何があろうとも、自分達の冒険に終わりが見えたとしても――絶対に。 そう思うとルフィは悲しみと共に、どうしようもない悔しさが込み上げてくるのを確かに感じた。 「ウソップは大事な仲間だったんだ……おれ達の、大事な……仲間だったんだあああああああああああああああ!!」 一際大きな声。 怒り、悲しみ、後悔――幾つもの感情が混ざり合って、大きな流れを作り出す。 幾ら叫んだとしても、ウソップの死を覆せはしない。 そう、結局こんな事には意味がない。もう“仕方がない”事なのだ。 頭ではわかっていようとも、ルフィは黙って受け入れたくはなかった。 麦わら海賊団の団長である自分が受け入れてしまう そうすれば、ウソップの存在が、本当に何処か遠くへ行ってしまいそうで――怖かった。 今まで命の危機を感じる事はあったが、自分や知り合いが実際に命を落とすまでの事は多くなかった。 しかもウソップが命を落とした理由が、見知らぬ男が開催した殺し合いによるものときている。 馬鹿げた事だ、本当に馬鹿げている。 何故、ウソップがこんな場所で死ななければいけなかったのか。 ウソップを殺した奴を許せないと思うと同時に、ギラーミンに対しても怒りを燃やす。 勿論、ウソップだけではない。 エルルゥ、先程の放送で知ったトウカ、そして戦ったばかりであるベナウィを始めとした14人も忘れられない。 エルルゥの墓と交わした約束を既に破ってしまった事による申し訳なさを力へ変える。 ギラーミンを倒す力へ、大切な仲間を守るための力へ――ルフィはひとえにそれを望む。 だが、突如として襲いかかった事実に対し、ルフィは慟哭をあげる。 「……あなたの話はわかりました。ですが、やはりもう仕方のないことであって、それよりも――」 「わかってる! わかってるけど、おれは……おれは……!」 「い、いい加減に離して下さい!」 一方、あすかの方はルフィの馬鹿力から逃れようともがく。 ルフィの叫びから、自分がずけずけとものを言い過ぎたのはわかっているのだろう。 しかし、先ずはこの不愉快な拘束から逃れようとあすかは身を動かす。 生憎、興奮状態にあるルフィを、落ち着かせるという選択肢はあすかにはなかった。 そしてルフィの方は、あすかの抵抗に応えるように腕の力を強める。 理由は定かではないが、半ば無意識的に行ってしまったのだろう。 逃げようとするあすかを引きよせる形となる。 その挙動は自分の激情を知ってもらいたいような素振りにも見えた。 そんな時、二人の元へ駆け寄る影が1つあった。 「……二人とも、ちょっと屈んでちょうだい」 言うまでもない、真紅だ。 言い争っていたルフィとあすかは一瞬、言葉を詰まらせる。 二人は訝しげに真紅を見やるが、さも真剣な眼差しを返される。 次に互いに視線を合わせ、目配せをほぼ同時に行った。 どうする――?、と奇しくも彼ら二人はこの時は妙に気があった。 真紅はその様子を見て、間髪入れずに再び口を開く。 「さっさとしなさい!」 一声。 両腕を組み、悠然と構えながら真紅はそう叫ぶ。 明らかに怒り――いや、苛立ちといった方が正しいかもしれない。 兎に角、好意的な感情が籠っていない声である事は確かだ。 ここは一応言う通りにして置こう。 そう思い、逸早くあすかが腰を屈ませて、ルフィもその動きにつられる。 二人の目線は下がり、真紅のそれとの距離は近くなる。 これからどうするのだろう。 尤もな疑問を抱く二人を余所に、真紅は徐につま先立ちで、少し背を伸ばして―― 「「う、うわ!」」 二人の頬を平手ではなく、真紅は自慢のツインテールで力強く叩いた。 真紅のツインテールによる打撃は、ローゼンメイデンの姉妹達の中でもその鋭さには定評がある。 特にですです人形こと翠星石いわく――“進化している”、だそうだ。 そして予想外だったのだろう。 彼ら二人は程度に違いはあれど、それぞれ驚きの言葉を口にする。 真紅はその様子を、ジトーと冷たげな視線を送りながら確認。 溜息混じりに言葉を紡ぐ。 「少しは落ち着いたかしら?」 「あ、ああ……悪い」 真紅の言葉が示すとおり、彼女はルフィの動揺を落ち着かせる事を狙っていた。 対するルフィは素直に礼を返す。 実際、完全とはいえないまでも落ち着きは徐々に戻っている。 ゴム人間であるルフィには、先程の打撃はあまり効きはしなかったが、多少の刺激にはなった。 青色の輝き、どこか造られた感が拭えない真紅の瞳がルフィを静めていく。 真紅はルフィの様子を観察し、やがて満足げに小さな笑みを浮かべる。 どうやら上手くいったようだ。 不意に真紅自身にも安堵のようなものが生まれる。 だが、そんな時無粋な言葉が横から突っかかる。 「ところで真紅、何故僕まで? 落ち着かせるのであれば彼だけで良かったのでは……?」 「……ちっ、細かいわね。別に減るもんじゃないし良いじゃない」 「は、はぁ!? なんですか、その態度は!? あなたの中では僕は一体どういう扱いなのですか!?」 「下僕よ」 「は、初耳だ!? しかも即答ですか!? 」 「……おまえら、見てるとなんか面白いな!」 「見世物じゃありませんよーーーーー!!」 ルフィの表情には段々と生気が漲り出す。 あすかの方も先程抱いた、己の力への過信も、ルフィに対する嫌悪もどこかへ失せたような様子だ。 しかし、二人は気づいていない。 真紅は確かに笑ってはいた。 目線を逸らし、さも捻くれた様子であらぬ方向を見ている。 だが、その笑みの奥底では耐え難いものがひっそりと隠れていたことに。 そう、真紅もまた大きな衝撃を覚えていたのだから。 先程の放送に対して。 ◇ ◇ ◇ 「じゃあ、おれはいくぜ。ゾロ達やハクオロ、アルルゥ、カルラって人達に会ったらよろしくな!」 「ええ、わかったのだわ。ルフィ」 「よし! 頼むぜ! “チンク”」 「……微妙に違うのだわ」 「あれ? あーーー真紅だったか! 悪い悪い!」 「先行きが不安ですねぇ……」 「うるせぇぞ、“むすか”」 「ほら、また間違ってるじゃないですか! あすかですよ、橘あ・す・か!」 ポンと手を叩き、いしししと特徴的な笑みを作りながら、得心がいった様子を見せるルフィ。 真紅とあすかの方はというと、自然と溜息を零している。 ルフィを知る者ならば、予想には容易い。 案の定、彼らの名前を字間違えながら、ルフィは彼らと別れの挨拶をする。 一緒に行動しようとは思ったが、分散した方が互いの知り合いと合流できる可能性も高くなる。 既に知り合いの何人かが死んでしまった現状であり、ぐずぐずしている暇はない。 あすかもまたルフィに対する蟠りは捨てきれず、結局ルフィとは別行動を取ることに決めていた。 そのため、ルフィとあすかの仲はあまり良いものとは言えない。 まあ、あすかの方が少し過剰気味に、ルフィを毛嫌いしている節が少しあったのだが。 ちなみに互いの知り合いの名前や、放送があるまでの簡単な行動についての情報交換は終えている。 真紅とあすかが齎した、この会場がループしている情報はルフィを大いに驚かせた。 一方ルフィが教えたのは二人の危険人物の情報であり、真紅とあすかは彼らの特徴などを深く記憶した。 「えーーーっとそれで真紅の知り合いが翠星石、蒼星石。あすかの知り合いはカズマ、クーガーでいいんだよな?」 そして参加者名簿を片手にルフィが確認する。 但し、カズマの方は知り合いといってもあすかとは敵対関係にある。 また、この殺し合いに呼ばれた時点では、無常矜持とあすかに接点はないため、彼の事には触れていない。 あすかはその旨を伝えて、ルフィはしっかりと頷く。 しかし、真紅の方は首を縦には振らない。 「それと水銀燈もだわ」 「お? わかったわかった。よし、これで……と。それでこいつとはどういう関係なんだ?」 「……姉妹よ。長い間仲が悪い、姉妹の内の一人だわ」 「ふーん、そっかぁ……」 手で頭を掻きながら。ルフィはしげしげと水銀燈の名前を見つめる。 何か疑問を抱いたのだろうか。 真紅はルフィの仕草からそう考えるが、心辺りはない。 もしや此処に来るまでに出会った事があるのかもしれない。 名前の間違いから、ルフィの記憶力がお世辞にもいいものではないのは事実。 だが、水銀燈を含めてローゼンメイデンは人形であり、その外見は特徴的だ。 よって流石にそれはないだろうと真紅は密かに思う。 ルフィはそんな真紅の様子に気付く由もなく、言葉を続ける。 「でも、昔は仲良しだったんだよな? 真紅と水銀燈は?」 「え、ええ……そうね」 真っ黒な瞳。 純粋な、一点の曇りもない瞳はルフィの人間性を映し出す。 その瞳と言葉を突き付けられて、真紅は詰まりながらも返事を返す。 仲良し――確かにそうだった。 以前、本当に以前には午後の紅茶を楽しんだりもした。 未だアリスゲームが始める前の、一世紀以上も前の出来事。 当事者である真紅ですらも既に色褪せたものでしかなく、今となっては遠い夢の記憶にも等しかった。 だが、その事を知らない筈のルフィは、さも当然のように言い放つ。 「だったらおれが真紅と水銀燈を会わしてやるよ! 姉妹なら仲良しの方が良いに決まってるだろ!」 力強くルフィはそう宣言する。 真紅はアリスゲームを、姉妹同士で互いに戦い合う宿命はルフィには教えていない。 もしその事を言ってしまえば、ルフィはきっと心の底からアリスゲームの是非を疑うに違いない。 間違いない。ルフィの性格からそうに決まっている。 出会ってから僅かな時間しか経っていないにも関わらず、真紅は確信が持てた。 愚直なまでに真っ直ぐな心が、ルフィの言葉からひしひしと感じる事が出来たのだから。 最早水銀燈との関係の修復は無理だと思っていても、なんだか少しは望みが持てる気すらもしてくる。 きっとこれもルフィの人柄が成せる事のなのだろう。 真紅の沈黙を肯定の意と受け取り、ルフィは満足げに笑う。 真っ白な前歯を惜しげもなく見せびらかして―― 「じゃあ、また絶対に会おうな!!」 心の奥底で死んでいった者達を留めながら。 掛け替えのない仲間を、未だ見ぬ仲間達との合流を焼きつける。 そして味わった悲しみを忘れない様に――ルフィは走り出していった。 いつもより少し寂しげな背中を見せながら、それでいて足取りはしっかりと。 【E-2 駅周辺 1日目 朝】 【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】 [状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 ウソップ達の死に悲しみ(出来るだけ我慢している) [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの [思考・状況] 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く 2:ギラーミンブッ飛ばす! 3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす! 4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ! 5:翠星石、蒼星石、水銀燈、クーガーとの合流。カズマには注意。 【備考】 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。 ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、 庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています ※真紅、あすかと情報交換をし、一回目の放送までの二人の行動を大体知りました。また、会場がループしている事も聞きました。 ※何処へ向かうかは次の方にお任せします ◇ ◇ ◇ 「行ったか……騒がしい奴だったな……」 駅のホームに備え付けられたベンチに腰掛け、あすかは言葉を発する。 落とした視線の先には、しわくちゃになった自身の制服。 ルフィの力がいかに相当なものであったかを今でも思い知らさせる。 アルターもないのにこれ程までとは――実際にルフィと戦わずに済んだことに、つい安堵を覚えてしまう。 そうだ。たとえアルター使いではなくとも、劉鳳を打ち倒す程の参加者が居るのだ。 浮きたった自分を見つめ直し、あすかは気を引き締める。 何故なら自分は死ぬわけにはいかない。 大事な、大事な恋人があそこで自分を待っているのだから。 「しかし、真紅は遅い。全くこれだから……」 待つと言えば今の自分もそうだ。 あすかは電車を待つと同時に、真紅の事も待っている。 以前、あすかは真紅に会場全体を回ってみたいと提案し、それを実行に移すためだ。 となれば此処から最も離れた駅はG-7にあり、取り敢えずの目的地は其処に決めていた。 但し、知り合いや協力してくれる参加者を捜す為に、途中でC-4の駅で降り、ある程度の探索をするつもりだが。 しかし、真紅はルフィと別れた後、少し用があるからあすかに対し先に行くようにと言った。 何故だろうか。改めて理由をあすかは考えるが――やがて、答えに辿り着く。 「そ、そうか! 確か真紅の知り合いに……」 何故気づかなかったのか。 劉鳳の死から湧きあがった優越感、そしてルフィの対処に気を取らていたのかもしれない。 真相は判らないが、あすかはそれよりも今の真紅が心配になった。 そう。先程の放送で呼ばれた桜田ジュンという名前は―― 「待たせたわね、あすか」 そんな時、真紅がゆっくりとした足取りで階段を上り、あすかの方へ進んでいく。 凛とした表情、歩の進め方は堂々としている。 あすかは何かを言い掛けようとするが、口を半開きにしたまま、何も言えない。 驚いたような目つきによる視線の先には、真紅の小さな顔。 真紅の表情には歪みはなく、至って平然な様子だ。思わずあすかは言葉を失う。 やがて電車の到着を知らせる警音が響き、程なくして二人の前で自動ドアが開く。 「さぁ……行くわよ」 真紅の声のトーンが、心なしか落ちたことにあすかは気づく。 ハッとした様子をあすかは見せるが、言葉には出さない。 只、力強く真紅の言葉に頷く。 真紅はあすかの無言の応答を横眼でちらりと見る。 (ジュン……おまえは良く頑張ったのだわ) 思い浮かべる。 桜田ジュン。真紅の現在の契約者であり、力の供給源――ミーディアム(媒介者)。 ジュンはお世辞にも優秀な契約者とは言えなかった。 体力はなければ、特に秀でた能力もない。 とある事情で学校とやらにも行かず、他者からの干渉を嫌った。 だが、ジュンはあの日巻いたのだ。 ローゼンメイデンの螺子を巻き、アリスゲームに関わる資格を否応なしに受け取った。 そこから始まったジュンとの生活の思い出は一際色濃い。 今までアリスゲームが中断される度に、何度も何度も契約者を変えてきた真紅の中では。 以前、自分の身体から引き抜かれた両腕を、ジュンが元通りにしてくれた事があった。 あの時は素直にジュンの素晴らしさを褒めた。 誇りに出来るように、自分への自信が持てるように――そう願った。 いつかジュンが自分の足で、外の世界に向かって歩いていける事をひとえに。 だが、ジュンは死んだ。 どこの誰かもわからない参加者に。 一人で居たのならきっと一方的に殺されたのだろう。 悔しいとは思う。悲しいとは思う。 何故ジュンがそんな目に遭わないといけないのかと思う感情は当然ある。 しかし、あすかが言ったようにもう仕方ないのだ。 既に自分自身へその事を納得させる時間は十分に取った。 つい先程までの空白の時間の使用の用途がそれだ。 そして今すべき事は前に進むことだと真紅は信じる。 自分とジュンの立場がもし逆であれば、自分はそう望むだろうから。 “縛る”過去にはしたくはない。 後悔に押し潰されて、自分の未来を潰すような過去には。 だから忘れてはいけない過去にしよう。 今まで確かに、自分のミーディアムが居た事を。 大事な存在であった、桜田ジュンという少年が確かに傍に居た事を―― 真紅は小さな胸と心に深く刻む。 (だから、また――会いましょう。 今度はまた違った出会い方で。たとえばあなたが螺子を巻かなかった世界……もしそんな世界があるのなら……ね) 腰を落としていたあすかに眼もくれずに、真紅が数歩の助走を経て電車に飛び乗る。 きっと真紅の歩幅では乗車は難しいと思っていたのだろう。 良い心がけだ。妥協点を上げても悪くはない。 そんな事を思い、ジュンに対して、叶う事のない願望を混ぜた言葉を送る。 振り向き、慌てて自分の方も車内に乗り込んでくるあすかを見据えた。 「もう、何も失わせないためにも」 その眼差しには強い意思を乗せて。 【E-2 列車内 1日目 朝】 【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】 【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0~2個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。 2:列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。 【備考】 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降) ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました 【橘あすか@スクライド(アニメ版)】 【装備】:なし 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る。 2:列列車に乗って、会場全体を一通り見ておきたい。そのためC-4駅で下車し、最終的にはG-7駅を目指す。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:翠星石、蒼星石、クーガー、ゾロ、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラと合流する。 5:カズマ、水銀燈、クロコダイルに用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない 【備考】 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作5話辺り) ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※ルフィと情報交換をし、一回目の放送までの彼の大体の行動を知りました。また、二人の危険人物(バラライカ、ラッド)の特徴なども簡単に聞きました 時系列順で読む Back 方針 Next エル・ブエロ・ガザ・デ・フローレンシア 投下順で読む Back 方針 Next エル・ブエロ・ガザ・デ・フローレンシア Back Next 想いは簡単に届かない モンキー・D・ルフィ 救いと因果と 想いは簡単に届かない 真紅 エデンの蛇(前編) 想いは簡単に届かない 橘あすか エデンの蛇(前編)
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君を連れ出して 昔々、あるところに平沢唯という女の子がいました。 彼女は近所の子供たちとギターを弾くのが好きで、休日にはみんなを集めて演奏会をしていました。 そんな、ある日のことでした……。 「今日もありがとう、唯姉ちゃん」 「りっちゃん、ドラム上手だったよ?」 「そう? えへへ……」 「唯ちゃん、いつもすみません」 「いいよ澪ちゃん。みんなでこうやって演奏会するのも楽しいし」 「そうね。こうやって演奏するのは本当に楽しいわ」 「ムギちゃんもキーボード上手だったよ?」 「まぁ! うふふ……褒められた♪」 その日は近所の子どもたちと演奏会を終えた日だった。 「じゃあ、また今度ね!」 「うん! さよなら、唯姉ちゃ~ん!」 「またね! 唯ちゃ~ん!」 「またお菓子持ってきますね~!」 子どもたちと別れて、家へ帰ろうと歩いていた。 「今日もみんな喜んでくれてよかった♪」 子どもたちとギターを使って歌うのはとても楽しい。みんな笑顔になって、心も弾む。 「今度はいつがいいかな……」 そう思って歩いていた時だった。 「……あれ?」 どこからか風に乗って、かすかにギターの音が聞こえてくる。 「……すごく上手だ」 自分は専門的なことはわからないけど、それでも上手だと感じる。 「どこから聞こえるんだろう?」 音をたどって歩いて行くと、川にたどり着いた。 ここは人があまり来ないところだから、私もたまにギターの練習に来る。 私以外にもここに来る人がいるとは……。 「……あの子だ」 川岸の方にちょこんと座っている人がいる。 「あの、ギター上手だね?」 話しかけてみると、その子が振り返った。 「あ……」 私はその顔に見覚えがあった。 「あ、梓ちゃん……!?」 それは、この街の一番の大富豪、中野家のご令嬢である中野梓ちゃんだった。 「あっ! こ、これは……」 梓ちゃんは私に見つかってすごく動揺しているようだ。 「あっ、ごめんね? 急に声をかけちゃって……」 慌てて謝ったけど、梓ちゃんは急に立ち上がると私に近寄ってきた。 「な、何……?」 「このことは他言無用です! いいですね!?」 「は、はい!」 それだけ言い残すとギターをケースにしまって、去って行った。 「な、何だったんだろう……」 それに他言無用って……。 それからというもの、梓ちゃんがとても気になって仕方が無い。 「一体、あれは何だったんだろう……」 他言無用って言われちゃったし、誰かに相談もできない。 「何か深い事情があるのかな……」 しかし、ご令嬢がギターを弾いているとは……。ちょっと意外かも。 「やっぱり、本人から聞くしかないか……」 私は意を決して梓ちゃんに話を聞いてみることにした。 けど、あれから梓ちゃんの姿は街で見かけなくなった。 「どこにいるのかな……」 あの川にもいなかったから、お屋敷に行ってみた。 「中に入れたらいいんだけどな……」 庶民である私がそんなこと出来る訳ないけどね。 とりあえず中をのぞいてみた。 「あ、梓ちゃんだ」 2階の窓から梓ちゃんが見えた。けどその顔は何だか悲しそうだ。 「梓ちゃん……」 何であんなに悲しそうな顔をしているのかな……。 これは何か事情がある! 絶対ある! 「……よし!」 その日の夜。 私は木の上にいた。 「はぁ……意外と疲れるな」 こんなに登ったのは何年振りだろう。 「おっと、それどころじゃない」 まだそんなに遅くないから人に気づかれたらまずいことになるよ……! 「でも、いいところにあるねぇ、この木は」 これが無かったらこんなこと考え付かなかっただろうな。 「……起きているかな?」 ここまできたらわかるよね? そう、私は梓ちゃんに会うために木によじ登っている。 「確かこの部屋だよね」 私は中を確認した。中ではベッドで寝ている梓ちゃんがいた。 「梓ちゃん……!」 窓ガラスを軽くたたくと、体を起して私を見つけた。 「……!?」 「やっほ~」 梓ちゃんが相当驚いた顔をして窓を開けてくれた。 「な、何しているんですか!?」 「いや、梓ちゃんが最近様子がおかしいから気になって……」 「だからってこんなところから……!」 「えへへ。だってあんなに悲しそうな顔してるから居ても立ってもいられなくて」 「と、とりあえず中に……」 「ありがとう……。わぁ、これが梓ちゃんの部屋か!」 左にベッド、右側にドレッサー、右奥には入口がある広い部屋だ。 「あんまり漁らないでくださいよ?」 「わかっているよ……。あっ! ギターだ!」 「言っているそばから漁らないでください!」 ベッドのすぐ横に赤いギターが立てかけてあった。 「へぇ~。いいギターだね」 「……そんなことを言いに来たんですか?」 「あ、そうだ。こんなことをするために来たんじゃないよ」 目的を思い出した私は梓ちゃんに向き合った。 「梓ちゃん、最近どうしたの? 外にも出てないようだし」 「……あなたには関係ないです」 「そんな悲しそうな顔して言ったって説得力無いよ?」 「……」 口を固く結んでそっぽを向く梓ちゃん。むぅ、強情だね……。 「じゃあ、梓ちゃんがギターやっていること言いふらしちゃおうかな?」 「そ、それはだめです!」 こんな反応するなんて、やっぱり何か事情が……。 「何でだめなのかな? 教えてくれたら話さないよ」 涙目でこっちを振り向いて、すごくかわいい……。 「……本当ですか?」 「う、うん……」 何だろう、色んな意味でドキドキしてきた。 そして、沈黙の後に梓ちゃんが話し始めた。 「……実は、親に内緒でギターをやっていたんです」 「内緒で……って、やっちゃいけないの?」 「このような家ではふさわしくないって……」 「そうなの……」 「でも、使用人にギターをしているのが知られて、怒られたんです……。親に言いつけるって」 声が震えている……。泣くのを堪えているのが痛いほどわかる。 「だから、あんなところでギターを弾いていたんだね」 「使用人にも、両親にも気づかれないから……丁度いいって思ったんですけど」 「確かにあそこはいいところだよね」 「あなたもあそこに行くんですか?」 「うん。あの時ギターの音がしていたからもしかしたらって思って行ってみたんだ」 「街中までギターの音がしていたなんて……」 「いや、あれは私が何となく聞こえていただけで誰も気づいていなかったよ?」 「……地獄耳ですね」 「褒め言葉として受け取っておくよ」 梓ちゃんが少し笑った。私もつられて笑ってしまった。 「ふふふ……。こんなこと話せるなんて思ってもみなかったです」 「私も。梓ちゃんが私と同じようなギタリストだったなんて」 梓ちゃんが笑ってくれてよかった。ここまで来た甲斐があったよ。 コンコンコン! 「梓様、何やら騒がしいですがどうなされたのですか?」 「あっ、使用人です!」 話に夢中になっていて、外に気づかれちゃったみたい。 「わ、私、そろそろ帰るね!」 慌てて窓を開けて、木に移る。 「唯さん……!」 「また来るからね!」 「ま、またって……」 急いで木を伝って降りはじめると、梓ちゃんが息を呑む音と、ドアの開く音がした。 「梓様、何をなさっていたのですか?」 「いや、星を見ていたのです。それで詩を……」 梓ちゃんには悪いけど、後のことは任せて早く退散しよう……。 次の日の夜、私はまた梓ちゃんの家に来ていた。 「……またそんなところからやってきて」 「だって見つかったら大変でしょう?」 「それはそうですけど……」 昨日と同じように木を伝って窓からお邪魔した。 「もう、昨日は大変だったんですよ?」 「ごめんごめん……」 「まぁ、特別に許してあげます」 声が少し上ずっている。上機嫌なのだろう。 隠そうとして隠し切れていないところがまたかわいい。 「ふふふ……」 「な、何で笑うんですか!」 「いや、何でもないよ」 「それで、今日は何の用ですか?」 「だって、おしおきで部屋から出られないんでしょ? 寂しいかと思って……」 「そうですけど……。けど、どうしてそこまでして来てくれたのかなって……」 「どうしてって……」 そう言えば、何で私はまた来たんだろう。昨日のことで、もう私の疑問は解けたはずだ。 もう、こんな木を登ってくる必要なんてなかったのに私は来た。 「どうしたんですか?」 「あ、いや……。どうして来たのかって、自分でもよくわからないんだ」 「わからないって……」 「……梓ちゃんに会いたいから来た。それじゃあ駄目?」 「恥ずかしいことを臆面もなく言うなんて……」 「人間、素直が一番だよ?」 「恥じらいも必要です!」 向きになっちゃって、やっぱりかわいいなぁ……。 「でも、あれだけギターが上手なのにやっちゃいけないなんてひどいよね」 「そんなに上手でしたか?」 「うん。あ、そうだ! 今度ギター教えてよ!」 「私がですか?」 「あのときの演奏すごく上手だったし、いいでしょ?」 「まぁ……、いいですけど」 「本当に!? ありがとう!」 私は嬉しくてつい手を取って喜んでしまった。 「あっ……ちょっと……」 「ん? どうしたの?」 「あっ、いや……その……。あ、あれですよ! うるさくすると気づかれちゃいます!」 「そうだね、ごめん。ちょっと興奮しちゃって」 「こ、興奮……?」 いやぁ、梓ちゃんと話すと楽しくてしょうがない。いつもの私より元気な気がする。 「じゃあ今度ギターを持ってくるね!」 「ここまで持ってくるんですか!?」 「さすがに無理か……。じゃあ、あの川に行こうか」 「私、外出られませんよ?」 「梓ちゃんを連れ出します!」 「ええぇ!?」 「窓から出て行けばいいし。大丈夫、私がついているから!」 「……余計不安です」 「なっ! それはちょっと酷いよ……」 「ふふふ……。元気になったりしゅんとなったり、おもしろい人ですね」 「えへへ……」 それからしばらく2人で静かに笑いあった。 さらに次の日の夜、私は梓ちゃんを迎えに来ていた。 「さぁ、梓ちゃん。行こうか」 「ほ、本当に行くんですか?」 「ここじゃ気づかれちゃうし、梓ちゃん外に出てないみたいだし」 「でも……気づかれたらまた怒られちゃう」 「大丈夫。私が付いているから」 手を差し伸べると、おずおずと掴んでくれた。 「さ、行こう?」 「もう、しっかり守ってくださいよ?」 こんな夜に秘密のお出かけなんて、ドキドキする。 梓ちゃんも必死に私の手を握って、かわいい……。 「ふぅ、何とか木は降りれたね」 「ギターを降ろすのにひやひやしました……」 「じゃあ、川へれっつごー!」 街を歩いていると、梓ちゃんが話しかけてきた。 「何だか、いつもと雰囲気が違いますね」 「そうだね。寂しいって言ったら変だけど、どこか不思議な感じだね」 いつも通っている道なのに、日光と月光とではこんなに変わっちゃうんだからおもしろい。 「あんまり夜に外に出たこと無いので新鮮な感じがします」 「じゃあまた2人で夜の散歩に行こうよ」 「……考えときます」 また、こうやって2人で散歩したいなぁ。 数十分後。 私達はあの川に到着した。 「じゃあ、梓先生お願いします!」 「……何だかその呼び方照れますからやめてください」 「は~い」 「じゃあとりあえずこれ弾いてみましょうか」 梓ちゃんが持って来てくれた楽譜を弾いてみることになったけど……。 「あの……」 「何ですか?」 「……楽譜の読み方から教えてください」 「えっ!? 楽譜読めないんですか!?」 「……はい」 「じゃあ、今までどうやってギターを……」 「えっと、いろんな人が弾いているのを聞いて、真似してやってたの……」 「逆にすごいですね、それ」 どこを弾けばその音が鳴るのかははわかるんだけどなぁ……。 「じゃあ、私が弾いたのを真似してください」 「よし来た!」 梓ちゃんの演奏を聞いて私も真似して弾いてみる。 「す、すごい……」 「へぇ、こんな曲があるんだね」 「これ弾くの、そうとう難しいのにすぐできるなんて」 「そうなの?」 「これはますます楽譜が読めるようになった方がいいですよ」 「そうだね。楽譜が読めるようになれば、もっと曲が弾けるもんね」 「がんばりましょう? 唯さん」 「その唯さんっていうの、やめにしない?」 「えっ? でも……」 「唯でいいよ。私も梓ちゃんって呼んでいるし」 少し間をおいて、梓ちゃんがためらいながら口を開いた。 「ゆ……唯……ちゃん」 「はい、梓ちゃん♪」 やっぱりこういう方がいいよね。唯さんって何だか距離を置かれているみたいで嫌だし。 「何だか恥ずかしいです……」 「そんなことないよ。仲良しなら普通だよ」 「はしたないというか、何というか……」 「でも、人と仲良くなれないっていうのは悲しいことじゃないの?」 「それはそうですけど……」 「まずは、こうやって名前を呼び合えば仲良くなれるものだよ」 「そういうものですかね?」 「そうだよ。梓ちゃんともこうやって仲良くなれたし」 「もう……」 梓ちゃんが照れながら笑った。 それから私達は幾度となく会い、打ち解けて行った。 呼び方も次第に呼び捨てになって、距離がぐっと近くなった気がする。 休日にはりっちゃん達との演奏会にも誘い、一緒にギターの演奏もした。 「あの、私が来てよかったんでしょうか?」 「いいんだよ。ほら、みんな、梓が来てくれたよ~」 「おぉ! こんにちは、梓姉ちゃん!」 「こ、こんにちは……」 「みんな元気でしょ?」 「うん。ちょっとびっくりしちゃった」 「この子がりっちゃん、この子が澪ちゃん、で、この子がムギちゃんです」 「初めまして、りっちゃんこと田井中律です!」 「秋山澪です」 「琴吹紬です」 「よろしくね」 梓も表情が柔らかくなって気がする。よかった。 「いやぁ、梓姉ちゃん。唯姉ちゃんから話は聞いてますよ♪」 「唯が私の話をしているの?」 「うん。梓はかわいくて大好きだっていつも言っているよ?」 「えっ……///」 「もう、りっちゃん! わざわざ言わなくてもいいでしょ?」 「だって本当のことだもん!」 まったく、りっちゃんは……。 怒る私をよそに、梓は顔を赤くして笑った。 「何笑っているのさ」 「唯、人間素直なのが一番なのでしょ?」 素直っていうより暴露されただけなんですけど。 「と、時には恥じらいも必要だと思うよ……」 何だか同じようなやり取りをしたことがある気がする……。 「お2人さん、お熱いですね!」 「りっちゃん!」 「わっ! 唯姉ちゃんが怒った!」 「律、あんまりからかっちゃ悪いぞ?」 「そうよ? 別に愛し合うことは恥ずかしいことじゃないわ」 「「あ、愛し……っ!?」」 こ、この子たちは人をからかって……! 「あ、2人とも顔真っ赤ー」 「えっ、いや、違うの!」 「……」 梓は恥ずかしさからなのか黙っちゃうし、私はもうパニックだ。 「うふふ、とても素敵なことだと思いますけど?」 「ムギちゃん……そんな目で見ないで。」 すごく期待している目だ。何に期待しているかだいたいわかるけど。 「と、とりあえず演奏しよう!」 「あ、ごまかしたー」 「いいの!」 「律、いいかげんにしろよ?」 「だってお似合いなんだもん。羨ましくてさ」 「はいはい! もうこの話は終わり! 演奏行くよ!」 「おー!」 ─── ずっとこんな楽しい日々が続くと思っていた。 あの日までは……。 「あ~ずさ!」 その日の夜、私はいつものように梓の部屋の窓ガラスを叩いた。 「唯……」 「どうしたの?」 梓が何だか暗い表情をしている。 「あの、明日から家族で旅行に行くのでしばらく会えないんです……」 「そうなの?」 「うん……。ちょっと遠いところなので、帰ってくるのも遅いんです」 大富豪の旅行か……。とっても豪勢なんだろうなぁ。 「ふ~ん。じゃあギターの演奏をしよう!」 「もう、旅行に行くだけですよ?」 「いいじゃん。しばらく会えないのならやろうよ?」 「……そうですね。やりましょうか」 その日は、2人で静かにギターのセッションをした。 「ねぇ、梓……」 「何ですか?」 「……やっぱりしばらく会えなくなるのは寂しいな」 「……」 「ご、ごめんね? たかが旅行に行くだけなにのこんなに寂しがって」 また梓に呆れられちゃうな、と思っていたけど今日は様子が違った。 ぎゅっ。 「あ、梓……」 肩に寄り添って、私に腕にしがみついてる。 「私だって、寂しいのに……こんなに我慢しているのに……」 あまりにも様子が違うので、私は梓の肩を抱いて慰めることしかできなかった。 「そんなこと言われたら、我慢できないじゃないですか……っ!」 私の肩に顔をうずめて、震える梓。 「……泣いているの?」 「……泣いてなんか」 強がっているけど、梓の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。 「そうだね……」 私は耐えきれず、梓にキスをした。 「んっ……」 長く、深いキス。今まで一度もしたことないような濃厚な物をした。 「はぁ……はぁ……。唯……」 「これから、寂しくないようにしてあげる……」 私は梓をベッドに押し倒し、さらにキスをする。 「んっ……、んぅ!」 「梓……!」 舌を絡ませ、お互いの唇を吸いあい、求めあう。 「お願い、唯を感じさせて……」 「忘れられないぐらい、刻みこんであげるよ……」 それから私達はお互いの存在を忘れないように、求め、貪り、確かめ合った。 「……」 朝。こんなに体がだるいものとは思っていなかった。 隣には規則正しい寝息をたてている梓がいる。 「梓……またね」 軽く頭を撫でて、私はベッドから出た。 綺麗な日の出が見える。 その中、私は木を降りて家へと帰った。 コンコンコン! 「う~……何?」 私はうるさいノックの音に起こされた。昨日遅く帰ってきたから眠いのに……。 「は~い」 「唯姉ちゃん! 大変だ!」 ドアを開けるとりっちゃん達が立っていた。 「どうしたの、みんな? こんな朝早くから」 「梓姉ちゃんが……!」 「あぁ、旅行でしょ? 知っているよ」 「違うよ! 梓ちゃん結婚するんだって!」 「……は?」 けっこん? 一体何の話? 「だって、昨日旅行に行くって……」 何かの冗談でしょ? それとも夢……? 梓ちゃんが結婚……!? 「梓ちゃんの家、借金が多くてそれを肩代わりしてもらうために嫁ぐんだって!」 でも、それは冗談でも夢でもなかった。 りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃんの言うとおり梓ちゃんはある大富豪の1人息子に嫁ぐ。 自分の家の都合で一方的に行ってしまったのだ。 「そんな……」 私には何にも言わずに、1人で全部抱え込んで行ってしまった。 「唯姉ちゃん、どうするんだよ」 「どうするって……」 こういう話に首を突っ込める訳ない。 「私はお金も権威もないし……。どうしようもないよ……」 「唯姉ちゃん! 追いかけようよ!」 「えっ……。でも……」 「梓姉ちゃんのこと好きなんだろ!? 大事なんだろ!?」 「りっちゃん……」 「だったら、追いかけないと後悔するぞ!」 「律の言うとおりですよ。追いかけてください!」 「どんといってこいです!」 みんな……。 そうだ。私にはお金も権威もないけど、梓への愛なら無限大にある! 「みんな……ありがとう! 私、行くよ!」 「おっと、お父さんが式場まで連れてってくれるぜ!」 家の前にりっちゃんのお父さんが馬車を停めて待っていてくれた。 「さぁ、乗りな!」 「すみません。お願いします!」 「私達も行くぞ!」 「「おー!」」 私とりっちゃん、りっちゃんのお父さん、澪ちゃん、ムギちゃんを乗せて馬車は走り出した。 「待っていてね、梓!」 馬車は軽快に走っていくが、時間はそれより早く過ぎて行く。 「お父さん、もっと速く!」 「わかってる! でもこれ以上スピードが出ないんだ!」 「見えてきた!」 澪ちゃんが指差す先に、大きな教会が見えた。 「あそこだね!?」 あとどれくらいだろう……。間に合うのかな……。 「まずいな、あそこじゃ馬車が入れん!」 「どうするの?」 「唯ちゃん、すまんが降りて走っていけ!」 「わかりました!」 教会まであと一歩と言うところで道が狭くなっている。 「さぁ、行っておいで!」 「行きます!」 私は馬車を飛び降りて、教会へ続く一本道を駆け抜けた。 「梓……! 梓……!」 しんと静まり返っている教会のドアを勢いよく開けた。 そして……。 「その結婚、待ったぁ!」 私はありったけの思いを込めて叫んだ。 中にいた人が一斉に私の方を見る。 けど、私には一番向こうにいる純朴のドレスに包まれた梓しか見えなかった。 「ゆ、唯……」 「な、何だね君は!」 1人の男の人が驚いたような声で叫んだ。 「この結婚に異議のある方がいらしたようですね」 神父さんが私を見て言った。 どうやら、丁度いいタイミングのようだ。 「はぁ……はぁ……」 息切れが激しいけど、そんなことは気にもならなかった。 間にあったんだ……。 「梓、おいで!」 私は目いっぱい手を伸ばして、言った。 でも、梓は嬉しい表情と悲しい表情が混ざった顔をして、首を横に振った。 「梓!」 「だめなの……。私は……」 見かねた私はさらに声を張り上げて言った。 「大丈夫、私がついているから!」 その言葉で、梓は走り出した。 「唯!」 そして、私の胸に収まった。 「梓……!」 「唯……!」 もう離さないように深く抱きしめた。 「これはどういうことか説明していただきたい」 「……」 新郎のお父さんらしき人が、梓の両親に詰め寄っている。 「少し、話をさせてください」 「手短にな」 梓の両親が私の前に来た。 「君、名前は?」 「平沢唯です」 そう名乗ると、梓のお父さんが少し笑った。 「そうか、いつも梓のところへ出入りしていたのは君か」 「えっ!?」 「知らないとでも思ったのか? あれだけ嬉しそうに騒いでいれば誰でも気づくぞ」 呆れた笑いをしながら、梓のお父さんは言った。 ……気づいていたの? 「あ、あの……すみません」 「まったくだ。おまけに折角の結婚式も台無しだ」 うぅ……。この後私どうなっちゃうのかな。 「梓、お前もお前だ。結婚するのなら何故この娘に駆け寄った?」 「それは……」 梓も俯いて黙っていたが、意を決してはっきりと言った。 「私は、この人を愛しているからです」 それを聞いて、梓の両親は少し驚いた顔をしたけど、すぐに険しい表情に戻った。 「そうか……。ならば、お前なぞもう娘ではない」 「お父様……!?」 梓のお父さんが冷たく言い放った。 「そうですね。私はあなたをそんな風に育てた覚えはありません」 「お母様まで……」 「勘当だ」 教会の中の人が一斉にざわつくのが聞こえる。 勘当って、親子の縁を切るってことだよね……? 「お前のような娘は知らん。どこへでも行け」 「お父様!」 「中野、貴様ぁ!」 新郎のお父さんが声を荒げて、さらに詰め寄る。 「私にはもう娘はおらんのだよ。だから、この結婚の話も無しだ」 「そんなことが許されると思ってか!? ここまでやっておいて、私の息子はどうなる!?」 「私に娘はおらん!」 そう言って、梓のお父さんは突き返した。 「平沢唯」 「な、何でしょう」 そんな中、不意打ちで梓のお母さんに名前を呼ばれた。 「……娘を頼みます」 「……!!」 そう言い残して、梓の両親は新郎の家族の説得に行った。 「お父様……お母様……」 「……行こう、梓」 梓は涙で震えながら、呟いた。 「……さようなら、2人とも。ありがとう……!」 そして、私は梓の手を引いて教会を出た。 「おう、戻ってきたか」 「梓姉ちゃん、綺麗!」 「本当だ。すごく綺麗……」 「とても似合っていますわ」 「みんな、ありがとう。ここまで来てくれて」 「いいってことよ。それより、お礼を言わなくちゃなんねぇのが他にいるんじゃないのか?」 「そうですね」 そう言うと、梓は私を見つめる。 「唯、ありがとう……」 「そんな。私は逆に謝りたいよ」 「どうして?」 「だって、梓のこと全然気づかなかったし……」 「あれは隠していた私が悪いのよ……。でも、ここまで来てくれて本当にうれしい」 「私も、梓を取り戻せてうれしいよ」 そして、私達はごく自然に顔を近づけキスをした。 「ひゃぁ~! 本物のキスだ!」 「何も見てない、何も見てない!」 「いいわぁ……」 「ははは! 若いっていいねぇ!」 しばらくのキスの後、お互いに笑いあった。 「大好きだよ、梓」 「私も大好きだよ、唯」 それから2人は末永く幸せに暮らしましたとさ。 めでたしめでたし こういうのもいいね -- (名無しさん) 2010-12-11 04 02 49 お父さんかっけぇ -- (名無しさん) 2013-07-30 22 35 11 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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part15-531 無責任 サボり魔 言い訳リターン 《無責任》 装備魔法 ライフを500払う。 装備モンスターは破壊される。 part15-531 名前 コメント 《サボり魔》 装備魔法 装備モンスターは攻撃出来ない。 装備モンスターの効果は無効化される。 part15-531 名前 コメント 《言い訳リターン》 カウンター罠 魔法・罠の発動が無効化された時、発動する事ができる。 このカードは無効化された魔法・罠のコピーとなる。(同じテキスト・種類を持つカードとして扱う) part15-531 名前 コメント
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砂時計型などのレイアウトにおいて、列車が往復する線路があった場合に、自動ターンアウト(以下「自動TO」)などをおいて別路線へ列車を誘導した場合にどのような動きとなるかを考察する。 まず、自動TOで分岐した先に折り返しをつけた場合は、図上で(左)→(分岐)→(右)→(分岐)→(左)→(分岐)→(上)→(分岐)→(左)・・・の動きを繰り返す。 自動TOで分岐した路線が同じ方向に合流する場合、(本線)→(分岐線)→(本線)・・・の往復を繰り返す。 自動TOで分岐した路線が、自動TOより手前で本線に同じ方向に合流する場合、合流ポイントに特に操作しない場合は、ループを回り続けて、本線に帰ることはなくなる。合流ポイントをスプリングポイントなどに設定した場合は、(左)→(分岐線)→(右)→(左)→(分岐線)・・・の動きを繰り返す。 自動TOで分岐した路線が、自動TOより手前で元来た方向に合流する場合、(左)→(分岐線)→(左)→(分岐線)→(左)→(右)→(左)→(分岐線)・・・を繰り返す。 自動TOより先で元来た方向に合流した場合は、自動TOで分岐後は右側へ列車が行くことはなくなる。 ここで、合流ポイントをスプリングポイントに設定すると、(左)→(分岐)→(左)→(右)→(左)→(分岐)を繰り返す。 次に複線ポイントを使った場合を考察する。 複線ポイントでループ線を組み合わせた場合は、複線ポイントでの動きが図のとおりのとき、(左)→(ループ(→の方向に一週))→(右)→(左)→(ループ)・・・の動きを繰り返す。 砂時計型の軸の部分を組み合わせた場合、(左)→(A折り返し)→(B折り返し)→(右)→(左)→(A折り返し:直前と逆回り)→(B折り返し:直前と逆回り)→(左)→(右)の動きをとる。 砂時計型の折り返し部分を組み合わせた場合、(左)→(A)→(B折り返し)→(A)→(C)→(B折り返し:直前と逆回り)→(C)→(右)→(左)・・・を繰り返す。
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唯「いえーい!盛り上がってるー?」 観客『わー!きゃー!』 唯「この曲はねー、こないだムギちゃんが~・・・」 澪(はぁ。この時間は暇だな・・・)ゴソゴソ 律(んー?何やってんだ澪は?) 唯「それでね、それでね、詩は澪ちゃんが書い・・・えっ?」 澪「はむっ、美味しっ」もぐもぐ 唯「ぁ・・・」 律「・・・!」 観客『・・・。」 澪「ん?」きょとん 唯「・・・えっ?」 澪「・・・?」もぐもぐ 梓「・・・。」 紬「澪、ちゃん?」 澪「何ふぁムギ?」もぐもぐ 観客『・・・。』 律「いや、何だはこっちだよ」 澪「??」もぐもぐ 律「澪」 澪「うん」もぐもぐ 律「何やってんだよ」 澪「芋を食べてるんだ。ふかし芋だぞ!」もぐもぐ 梓「・・・。」 観客『ざわざわ』 澪「??」 律「なんで。なんでライブ中に芋食ってんだよ・・・?」 澪「なんでって・・・」もぐもぐ 澪「んむっ」ごくん 澪「歌ったらお腹空いたし」 観客『ざわざわざわざわ』 紬「・・・えー」 律「・・・マジかよ」 澪「??」きょとん 梓「あの・・・」 澪「どうした梓?」ぱくっ 律「さらに食ってんじゃねーよ!」 澪「!??」びくっ 律「なんでライブ中にポケットからおもむろにふかした芋取り出してもりもり食ってんのかって聞いてんだよ!」 澪「そ、それはっ!私がしゃべる番じゃなくて暇だたし、ちょうどポケットに芋を入れてたから・・・」 律「はいぃ!?」 律「ダメだ・・・」 澪「??」もぐもぐ 律「ムギ。パス」 紬「ええっ!?」 律「ちょっと一回落ちつかないと、頭が回んないわ・・・」 紬「私もよ・・・」 澪「美味しっ」もぐもぐ 紬「えっと、どうして澪ちゃんはポケットにおいもを入れてたのかしら?」 澪「うちから持ってきたんだ!」 律「・・・。」 紬「・・・どうして舞台の上で食べてたの?」 澪「お腹空いてたし?」 律「・・・。」 紬「・・・我慢できないくらいお腹が空いてたの?」 澪「いや、そうでもないけど。ほら、芋が冷めちゃったら美味しくないだろ?」ぱくっ 紬「そ、そうよね・・・っ」 観客『ざわざわざわざわざわざわざわざわ』 紬「りっちゃん。私、ちょっと理解に時間がかかりそうよ」 律「OK。交代しよう」 澪「美味しっ」もぐもぐ 律「澪、何故お前はまだ芋を食ってんだ!?」 澪「それは・・・」もぐもぐ 澪「んぐっ」ごくん! 澪「それは、何故人は芋を食って生きているか?って意味か?」 律「おう!?」 紬「どうしましょう・・・」 律「これは思ったより手強そうだな・・・」 澪「??」もぐもぐ 澪「あ、そう言えば梓。さっき何か言いかけてなかったか?」 梓「はいっ、澪先輩はおかしいです!」 澪「えっ?」もぐもぐ 律「そうだ!ストレートに言ってやれ梓ー!」 梓「澪先輩だけおいもさん食べてズルいです!私にもちょっとください!」 紬「えー」 律「えー」 澪「いいぞ。半分こだ!」もりっ 澪「ほら梓。お食べ」 梓「いただきます!」ぱくっ 梓「美味しいですね」もぐもぐ 澪「だろー?」もぐもぐ 紬「えー」 律「えー」 澪「ああ、美味しかった」ほっ 澪ちゃんFC『きゃー!きゃー!!』 律「ええっ!?」 律「澪がライブ中にポケットから芋を取り出してもりもり食い始めた」 澪ちゃんFC『 ミオチャンガマンゾクソウヨー ミオチャンカワイー! キャーキャーミオチャーン』 澪「みんなもいっしょに芋食べるかー!?」 澪ちゃんFC『きゃあああああああああああっ!!!』わーわー! 律「わからない。この学校の常識がわからない」 紬「そう言えば、唯ちゃんは?」 律「本当だ!いつの間にかいないっ!」 梓「唯先輩ならさっき帰りましたよ?『暇だなぁ』とか言って」 紬「まだ曲が残ってるのに・・・」 澪「勝手なヤツだなぁ」 律「もうわけわかんねえよ・・・」 おしまい! 戻る